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「A、怒ってる?」
「怒ってない」

先にコンビニに着いていたキヨが買ってくれていた豚まんを口に含みながら無愛想に返す。

「怒ってるだろ」
「怒ってないってば」
「悪かったよ学校まで行ったのは」
「…満更でもなかったでしょ」
「なにが?」
「女の子に囲まれて」

自分自身でもどうしてこんなに腹立たしいのか分からなかった。
故に、自身の発言の意味を気づけなかったのだ。
隣でキヨが口元を手で隠していたことさえも。

「…嫉妬?」
「え?」
「俺が女に囲まれて嫉妬した?」
「……」

嫉妬。
そうか。私はー。

「キヨの馬鹿」
「はいはいご馳走様です」
「もう!で、何の用だったの?」
「え?あー。Aさ、プレゼント何が欲しい?俺なりに結構考えたんだけどいい物思いつかなくて」

わざわざプレゼントを訊くために学校まで来たのか。
私もさっきまで同じこと考えてた、なんて。

「特に欲しい物は…て言ったら困るよね。美味しいご飯でお願いします」
「色気より食い気だよなほんと」
「うるさい。キヨは?何か欲しいものある?」
「俺はお前といれたらそれでいいよ。あ、クリスマス俺ん家泊まる?」
「お母さん今年は24日早番だから駄目」

キヨは何も要らないと言ってくれているが私だけ何か貰うのはフェアじゃない。
私になにか出来ることはあるだろうか。

「…あ。キヨ、24日午前中から会わない?お昼二人で食べて夕飯私の家で食べてってよ。料理キヨの好物作るね」
「おーいいな。美那さんとも会いたいし」
「キヨいつの間にお母さんと仲良くなったの」
「えー言っていいの?Aのあれこれ…」
「いいです聞きたくない」

**

やばい。
まさかAが嫉妬してくれる日が来るとは思わなかった。
だってツンデレのツン9割のあのAだぞ?
正直電話の時は学校まで来たのはさすがにまずかったかと反省したがこんなラッキーイベントがあるとは。
ナイス俺。

信号待ちにスマホを開くとメールが1件。
美那さん…Aの母親からだった。

「Aから聞いたわ。キヨくんいいの?クリスマスなんだから私に気使わなくてもいいのよ?」

「Aもその方が喜ぶので大丈夫です。ありがとうございます」

送信完了。

そりゃクリスマスは二人で過ごしたい。
けどAのあんな顔…しかも俺のために料理するって言ってるのを断れるわけが無い。

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作者名: | 作成日時:2019年12月26日 12時

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