第39話 ページ41
後ろから突然掛けられた声。ちょっと緊張してるような、喉を震わせてそうなその声はたぶん私にかけられたものだ。だって周りカップルしかいないもん
くるりと振り返って、目を合わせる。すると驚いたように、一瞬目を見開く彼。いや、彼、というよりも少年か?
まじまじと見つめられ、居たたまれなくなってくる。ナンパ、とかじゃないだろうし、てかこの子初々しいな可愛い。なんか雰囲気とか、佇まいとかさ!
「、あの、コレ。落としましたよ」
『え…?』
「あれっ、違いましたかっ?」
『あ、いえ合ってます!』
私の周りにはいないタイプだなぁ、なんて思って萌えてたらタオル生地の真っ白なハンカチを差し出された。間違いなく私のものである
『わざわざ拾ってくれて、ありがとうございます』
「いえ!そんなお礼言われることではないので!」
謙虚だ。この子可愛いし謙虚だ。遠慮ないような子としか最近関わってないからか謙虚な子がすごく良い子だと錯覚してしまう
あたふた、と慌てる様子は見ていて面白いが、何かお礼をしたい。こんな風に萌えさせてくれたんだし。あと、何かあげなきゃっていう使命感を感じる
『あの、お礼したいので、そこのカフェにでも入りません?』
「えっ!?や、そんないいで、 “ぐきゅるるる”……」
少年の声を遮るほどの大きな音が、お腹のあたりから聞こえてきた。腹が減ったと主張するのは彼のお腹の虫だ
『……』
「あ、この音は気にしな “ぐううきゅるるる…!”……はは、」
『…何か食べましょ?』
「う、すみません。ありがとうございます」
恥ずかしそうに頰を真っ赤に染めてもじもじと俯く様子はとても可愛らしい。けれど何も言わないでおこう。突っ込んじゃ彼が可哀想になってくる
私はお腹の音なんて聞いてないっていう体でいこう、うん。そうしよう
カランとドアについている小振りな鐘が鳴り店内に入る。あれ、そんなに人入ってない。あれか、イルミネーションでも見てるのか
手近にあったテーブルに座ると、少年は私の正面に所在無さげに座る。やっぱり知らない人ってことで緊張してるのかな
『ねえ』
「はいっ、!」
『まず自己紹介しよう。私は藤間Aていうの。君は?』
とりあえず名前は明かしておこう、と思って聞いてみた。聞かなきゃよかった
「あ、と茂庭要。よろしくね」
『、うん。よろしく〜』
クリスマスに運命的な出会いをあの伊達工の主将とするってどういうことなの…
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なつき(プロフ) - アニオタさん» コメントありがとうございます!好き、と言って頂けてとても嬉しいです。高校はそうです、別に行かせます。寂しい気持ちは正直私もありますが、決めている事なので。 番外編についてはかしこまりました。別のところに載せますね! (2021年3月27日 23時) (レス) id: 2e5549a5b9 (このIDを非表示/違反報告)
アニオタ - そのまま白鳥沢にいるものだと思っていたので、驚きです。それと、この作品の番外編、読んでみたいです。続きの更新も楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月25日 18時) (レス) id: 4bb6e8f6df (このIDを非表示/違反報告)
アニオタ - はじめまして、アニオタです。作品、読ませていただいております。とても面白くて好きです。でも、夢主が高校は白鳥沢じゃないって話を見て、え!?白鳥沢じゃないんだ・・・。じゃあ、何処の高校行くんだろう。と考えちゃいました。少し寂しいです。 (2021年3月25日 18時) (レス) id: 4bb6e8f6df (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - もみじさん» コメントありがとうございます!仲の良いクラスなんですね! (2017年10月14日 18時) (レス) id: 2e5549a5b9 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - やべぇ、うちのクラスめっちゃコミュ力たけぇw1ヶ月したらもう名前呼びだったわw 面白いです! (2017年10月13日 17時) (レス) id: 1e70000bec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつき | 作成日時:2016年7月16日 19時