気づいたら赤ちゃんから人生やり直してるんだけど【排球】

第34話 ページ36

えー、と現在の時刻は19:17。19時過ぎである。私が今いる場所は今朝送ってもらった駐車場。そして他の人は誰もいない


『……、さみい』


かじかんだ手の先を少しでも温めようと、吐き出した息を手で閉じ込める。それでも隙間からこぼれ出る真っ白な息。外は真っ暗だから、対比の白は目立った


あれから、試合は無事にうちが勝った。ボトル洗いとか、用具の片付けもして、30分ほど前に体育館脇で解散したのだ

「あれ、藤間残るのか？」
『うんまだ迎え来ないから』
「俺らも残るかー？」
『いいよ、すぐ来るし！寒いから早く帰って〜』


とかいう会話をしたのが懐かしく感じる。



『(残って貰えば良かった…！！)』


もう一度言おう、寒い。とっても。暖房機器も何もない外で1人寂しく待つのめっちゃ辛いって思ってなかった。いやほんと舐めてた

あの時カッコつけて『私は大丈夫！』なんて言わなきゃ良かった…！大丈夫じゃねえええ寒い。マジ、ほんと寒い。っていうか父さんまだなんかい！

『っ、はっくしゅ！、くしゅんっ！』

くしゃみまで出てきた。最悪である。風邪引きそう。あ、マフラーに鼻水ついた。最悪である


もはや手の感覚も無くなってきた。父さんも遅れるなら遅れるって言っといてほしい…、まだ仕事なのか、……って、もしかして


また、迷ってる…！？


いやそんなあはは、って冗談に出来そうにないのが恐ろしい。やばいぞコレは。嘘だろ私このままじゃ…




『寒過ぎて凍死するっ！！！』

「うわあああ！！」
「うっせえ黙れ！！近所迷惑だ！！」
『っ！？』


私が叫んだ瞬間、後ろからまたしても叫び声が上がった。驚いて振り向くとそこにはお化けでも見るかのような体勢の男子2人が立っていた


ん…？？北川第一のジャージか。いやでも見たことあるよう、な…



「「『あ』」」



ハモった。意味合いはおそらくまったく違うだろうけれど

「っはー、なんだ生きてる人間じゃん」
「おいてめえ騒いでんじゃねーよ」
「岩ちゃんもビビってたじゃん」
「うるっせえ」


岩ちゃんと呼ばれた男の子は、もう1人の頭を殴っていた。痛い、なんて言いながらも目の前に立っている2人は原作通り、仲が良さそうだった


「つーか白鳥沢のマネージャーか」
「え！あ、ほんとだ！」
「わりいな、こいつが騒いで。俺は岩泉一」
「ちょっと岩ちゃん殴るのやめて？俺は及川徹ね、よろしく！」




ははは、ちょっと。マジで。




『あー、私は藤間A。よろしくねー…』

第35話→←第33話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す