気づいたら赤ちゃんから人生やり直してるんだけど【排球】

第33話 ページ35

キュッキュッ、と床を擦る音と、激しいボールの攻防に目を奪われる。打って、拾って、繋いで、そうしてまた打って。そういうところを見るとバレーって“絆”が重要な競技だよなぁと改めて感じる


あ、今のスパイクいい感じ

『ナイスキー！！』



はい、どうもAです。現在練習試合真っ只中です。まあもうそろそろ終わるけどね

今しているこのセットが、今日最後のセットである。そして現在うちが2セット、北川第一が2セット取っている。つまりこれが終われば、今日の勝敗が決まるのだ


「俺にあげろ！」
「頼んます先輩！」


向こうのサーブを拾ったうちのリベロ。ボールは綺麗にセッターまで返り、うちのエースである主将が叫ぶ

パァン、と音がした次の瞬間には相手コートに叩きつけられている強烈なスパイク

『っよし！』


今ので得点は20点台に乗った。向こうは18点。このままいけばうちの勝ちだ。油断は出来ないけどね


『ナイッサー！』


得点側からサーブを入れるため、次はうちのサーブだ。お、ジャンプサーブだ。…うわお強烈。練習見てても思うけどバァンて何！触ったら絶対腕もげるでしょ

それなのにうちの選手は普通に上げる。こればっかりは日々の練習で培う技術だ


「、あがった！」


強烈なサーブにも関わらず、向こうもやはり拾ってくる。乱したけど。今日の試合を見てると、向こうはそれでも強引に速攻使ってくるような強気なセッターだ。どこ使う？


なーんて思ったら。


「にゃろっ、！！」
「っ、くそ！」


まるで嘲笑うかのように、静かに地面に落ちるボール

『っ、うわ』

ここでツーアタック…！！


今日初めて見た。いや初めて見たからって拾えないわけじゃない。普段のうちの選手たちなら。けど今日この場面でなんて。

皆が疲れていて、早く終われとかなんとか思ってそうな中で使うとか、ほんと性格悪いというか


皆の疲れがピークに達してる今。今のプレーで士気が若干下がってしまった。そんな中、パンッ、と手の鳴る音がして。その発生源は主将だった


「落ち着けお前ら、俺らは強いだろ」


悪どい笑みで強気に笑って、チームを見渡す先輩。ポカン、とした皆の顔は、次の瞬間には笑顔で。ほんっとこういうところで引き締めるんだよなぁこの人。強豪チームのキャプテンって感じすごい


「勝つぞ！」


叫ぶ主将の言葉に鼓舞されて。それからまた、ボールの攻防戦が始まった





************
試合的な部分の書き練習です。……うーん、難しい…

第34話→←第32話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す