気づいたら赤ちゃんから人生やり直してるんだけど【排球】

第12話 ページ13

「A！遊ぼうぜ…て、あれ？何してんだ？」
『おー、翔陽。ちょっと待ってね、今オリエンテーションのための荷物詰めてるから』
「オリエンテーション…？？」


年頃の女の子の部屋の中に翔陽が勝手に入ってきても、うちでは何の違和感もない。むしろいつもの光景だ

そして私は今、先ほども言ったようにオリエンテーションのための荷物を詰めている


「オリエンテーションって何だ？」
『ん、中学校の行事』
「へえー、何するんだ？」
『山登りだって』



******************

それはある休日の朝のことだった。



「A、そろそろ“登山だうふふ”の時期じゃないか？」
『何言ってんの父さん？』
「あ！そうねえ。そろそろだわ」
『…母さんまで？』

日曜日の朝、突然父さんが言った言葉に面食らっていたら母さんまで同意しだした。何を言っているんだこの人たちは

おそらく何らかの行事だろうけど…“登山だうふふ”て何やねん


「あれだよ、オリエンテーション。来週辺りに告知されると思うぞ」
「そうね、5月だものね」
『へ〜』


そんなことするのか白鳥沢学園。いや、まあ普通、なのかな？でもまだ5月なのに？？オリエンテーションってクラスの皆と絆を深める、みたいなものじゃないっけ？流石に5月ってはやくない？



それから翌日の月曜日。テキトー担任の鈴木の言葉に衝撃を受けた


「あー、今週土曜に“登山だおらぁ”があるぞ。まあテキトーに山登りの準備しとけ」
「いや先生行事名おかしくないですか」
「気にすんな、あと今配ったのが概要だから。しっかり読んどけよー」


登山だおらぁもうふふも正直どっちでもいい。というかどうでもいい。私が衝撃を受けたのは概要の方だ


『“えー、この行事はクラスや学年の垣根を超えた交流の場である。全く知らない人と組んでも、登山や炊事を通して信頼関係をいかに短い間に築けるか、という課題をぜひクリアしてくれたまえ……校長”』


『…何これ？』
「ふざけてるとしか言えないわね」

いやクリアしてくれたまえって、は？ほんと何これ？？しかも班の人はくじ引きで決めると？

『ええ…何それ』
「…、」
『ん？牛島君そわそわしてどうしたの？』
「、いや、その」

隣の席の牛島君を見ると、目がキラキラと輝いていて、なんだかすごく楽しそうな顔だった


可愛い。可愛いけど、あー、うん


『(変なことに巻き込まれませんように…)』


*************



『まあこんな感じ？』
「へえー、楽しんで来いよ！」

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