第1話 ページ1
ピピピピ、ピピピピという無機質な電子音が響く部屋で私は目覚めた
『んん、…朝か、』
ぼんやりと滲む視界には、カーテンの隙間から入り込む太陽の光が映る。朝の来訪を告げる時計へと手を伸ばし、バシンと叩くと音は鳴り止んだ
『はぁ、今日も仕事だぁ…』
私は藤間A。もうそろそろ三十路に手が届くような年齢で、彼氏はいない。
嫌いな言葉は仕事。この世で一番嫌いだ。だが、この世の中を生き抜くためにはそんな悠長なこと言ってられない
仕事をしなきゃ食っていけないし、ニートになりたいわけでもない。特に目的はないけど、とりあえずいつもと同じ毎日を過ごす、そんなどこにでもいる女だ
『…だるいなぁ』
いつもと同じ毎日。そう毎日。毎日毎日朝起きて、仕事して、家に帰ってシャワーを浴びてベッドに倒れこむ。そしてまた朝起きる、その繰り返し
着替えをして、家を出た時にふとそんなことを考えた。足元にある小石を蹴って、真っ青な空を見上げた
『あーあ、こんな毎日つまんない。顔は普通だしスタイルも普通。就職してる会社も普通だし、もー、“普通”だらけでつまんない!!』
いい歳して何言ってんだか、私は気づいたらそんなことを叫んでいた。朝早い時間でよかった。こんなとこ誰かに見られたら恥ずかしさで軽く死ねる
一応周りを見渡して、人がいないかの確認をした。前よし、後ろよし、左右よし。誰もいないな
私はすぅ、と息を吸い込んでから思いっきり叫んだ
『毎日毎日、同じことの繰り返しでつまんない!神様ってやつがいるなら、私をどっか別の世界にでも送り込んでくださーーーい!!!』
くださーーーい、くださーーい、くださーい……
やまびこのように繰り返される言葉。なんかもうやけくそだった。なんでこんな気分なんだ私。あぁそっか、昨日リストラされたからだ
不況な世の中では、珍しい話じゃない。そう言われ、上司に退職を言い渡された
なんで、私。どうして。
そんな言葉が浮かんだが、あの場で何かを言う権利も力も私にはなかった。それから、ぼうっとして、帰って、あぁ、いつも通りに起きたんだ
染み付いた癖。忌々しい。あんなに嫌いだったのに、行けなくなるのはすごく困るんだよ、くそ
『はぁ、なんか、もう疲れた…。っていうか、どうせなら人生やり直したい』
そう呟いた時
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「そなたの願い、叶えてやろう」
そんな声が、聞こえて
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私は意識を失った
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なつき(プロフ) - アニオタさん» コメントありがとうございます!好き、と言って頂けてとても嬉しいです。高校はそうです、別に行かせます。寂しい気持ちは正直私もありますが、決めている事なので。 番外編についてはかしこまりました。別のところに載せますね! (2021年3月27日 23時) (レス) id: 2e5549a5b9 (このIDを非表示/違反報告)
アニオタ - そのまま白鳥沢にいるものだと思っていたので、驚きです。それと、この作品の番外編、読んでみたいです。続きの更新も楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月25日 18時) (レス) id: 4bb6e8f6df (このIDを非表示/違反報告)
アニオタ - はじめまして、アニオタです。作品、読ませていただいております。とても面白くて好きです。でも、夢主が高校は白鳥沢じゃないって話を見て、え!?白鳥沢じゃないんだ・・・。じゃあ、何処の高校行くんだろう。と考えちゃいました。少し寂しいです。 (2021年3月25日 18時) (レス) id: 4bb6e8f6df (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - もみじさん» コメントありがとうございます!仲の良いクラスなんですね! (2017年10月14日 18時) (レス) id: 2e5549a5b9 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - やべぇ、うちのクラスめっちゃコミュ力たけぇw1ヶ月したらもう名前呼びだったわw 面白いです! (2017年10月13日 17時) (レス) id: 1e70000bec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつき | 作成日時:2016年7月16日 19時