せめて知らないところで ページ12
臣:「それ、全部一人で運ぶの?」
『…うん』
臣:「どこまで?」
『準備室まで』
臣:「手伝うよ」
『いや、大丈夫です』
臣:「いや、いいよ」
『ほんとに、大丈夫』
廊下でずっとこのやりとり
運ぶ運ばないで言い合いになって、休み時間もあと五分で終わる頃に
やっと我に返った
臣:「やば。よし、早く行くぞ」
『えっ!?』
臣:「残り持って」
『あ、はいっ』
結局登坂くんが半分以上の量を持ってくれて
申し訳ない気持ちで私はその隣を歩いてた
臣:「ここの準備室?」
『うん。運んでくれてありが』
臣:「ちょっと静かにして。」
中から声が聞こえる。って、登坂くんが言い出して
こんな所で思うのも変だけど、耳がいいなってちょっと感心しちゃった
「ねぇ。いいじゃん。ここなら誰も来ないしさ」
〈えー?笑 ダメだよぉ。誰か入ってきたらどうすんのぉ?〉
「誰も来ないって。それにもう授業始まるし笑」
〈もう。しょうがないなぁ。笑〉
この声、はっきりとは聞こえないけど、明らかに聞いたことある。
この声って…
『しゅうくんだ。』
臣:「みことの声。」
『うそ。』
臣:「こんな時に嘘つかねぇから。」
嘘でしょ。やだ。そんなのやだ。
しゅうくんは私のことが好きって思ってた。
あれは全部私の思い込みだったの?
なんで…
臣:「Aちゃん」
『やだよ。こんなのやだ。』
持ってた教材を床に全部落として
泣きながら、屋上まで走った。
二股するんなら、せめて私の知らないところでやって欲しかった。
こんなに辛いことないよ…
『うっ……しゅうくん…』
臣:「Aちゃんっ。」
『…登坂くんは…悲しくないの?自分の彼女が、違う男の子とイチャイチャしてるんだよ?』
臣:「…今は、彼女とかどうでもいいよ。泣いてる子を放っておけないでしょ」
涙で顔がぐちょぐちょの私の隣に座って
頭を優しく撫でてくれる。
そんな優しさも今は胸が痛い。
ずっとずっと涙は止まらなくて
今までずっと何も言わずに隣にいてくれた登坂くんが口を開いて、私に言った。
臣:「仕返し…しようか。」
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こもりん(プロフ) - いぇすさん» コメントありがとうございます♪ 最後まで読んでもらえて嬉しいです! (2017年4月3日 12時) (レス) id: c137379bdb (このIDを非表示/違反報告)
いぇす - 最後の部分がタイトルと重なって、もうたまらなくなりました笑笑 すごく面白かったです! (2017年4月3日 12時) (レス) id: 2e838c7f21 (このIDを非表示/違反報告)
こもりん(プロフ) - あらこもりさん» いつも最初から最後まで読んでくれてありがとう!結構早く終わったよ笑 次の作品もお楽しみに♪ (2017年4月3日 0時) (レス) id: c137379bdb (このIDを非表示/違反報告)
あらこもり - みづ!今回のお話もすごい面白かったよ♪みづがいつもつくるお話より1番早く完結しちゃったんだね〜でもめちゃくちゃ面白いし、キュンキュンした!!新作のお話も楽しみにしてるね♪ (2017年4月2日 23時) (レス) id: 08e1534ff2 (このIDを非表示/違反報告)
あらこもり - そうなんだ〜確かに私も王様ゲーム読んでるけど作者さんすごいよね〜!!全部小説持ってるんだ〜お金持ちですね〜笑私もほしい!!!絶対買ってくれないもん!!いいな〜 (2017年4月2日 23時) (レス) id: 08e1534ff2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こもりん | 作成日時:2017年3月20日 20時