海とマーメイド

愛して愛されて ページ16

『…え？』







人魚姫みたいな恋ってなに？


ていうか、臣くん人魚姫嫌いって言ってたよね？









臣:「ごめん。分かんないよね」


『うん。分かんない』


臣:「まあ、簡単に言うと、薄っぺらい恋じゃなくて、人魚姫みたいに好きな人のためなら自分の命を犠牲にできる。みたいな」


『命って…』


臣:「命はちょっと大袈裟だけど、それくらい、愛してもらって、愛せる人と付き合ってほしいなって」


『そんなの、臣くんだってそうだよ。もっといい人がいると思う』








こんな状況で、よく人の心配できたな。私。

でも、きっと臣くんはいい人だから

臣くんを一途で愛してくれる人を探してあげたいな








臣:「行こう。時間なくなる」


『あ、うん』








臣くんの隣をゆっくり歩いて

緊張しすぎて、自分からは何も話せなかった



でも、臣くんは結構私に話しかけてくれて


私、人見知りだから、目とか合わせないけど、
だんだん臣くんと話すのも慣れてきたかも






臣:「Aちゃんはさ、彼氏と別れないの？」


『…多分、まだ好き。心のどこかで私のところに戻ってきてくれるんじゃないかなって思っちゃってる』


臣:「早めに別れたほうがいいよ。相手から言われるより、自分から言っほうがいい」


『うん…。臣くんもだよ？』


臣:「うん。俺も、早めにケリをつけてくる」








そんなこと話してるうちに映画館に着いて

何見ようかなって臣くんが迷ってた



先に決めてたわけじゃないんだ。

なんか、映画を選んでる時の臣くん楽しそう









臣:「あ、ねえねえ。これ見ていい？」


『んー？どれ？』


臣:「これこれ」


『ホラー映画か…いいよっ』


臣:「意外といけるタイプ？」


『幽霊とかは大丈夫なんだよね。いけるタイプだよ笑』


臣:「じゃあ、チケット買いに行こ」









二人じゃ効率悪いからって、一人はチケット、もう一人は飲み物とポップコーンを買いに行った


映画久しぶりだな。特に、男の子とふたりで見に来るなんて


しゅうくんとは一回しか見に来てないからな


なんて、考えながら並んでいたら


聞きなれた声が聞こえてきた









〈ホラー怖い〜！泣く！〉


「怖かったら俺に隠れてみていいから笑」


〈やった！〉









しゅうくんと、みことちゃんだ。


いつの間にか二人は呼び捨てで呼んでて

しゅうくんは、私といる時よりずっと楽しそう




こんな二人見たくなかった…

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