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第85話 ページ39

(冨岡義勇side)





時折Aに呼びかけながら、蝶屋敷まで走り続けた。






ガララッッ

バン!!





「胡蝶ッッ!!!」





入り口で声を張り上げると、
屋敷の主人はすぐに現れた。




「何ですか冨岡さん。そんな大きな声出せたんですね。
でもまだ朝早いので寝てる方もたくさんいますからもう少し静かに……」




そう言いながら現れた胡蝶の目が、俺の腕の中を捉える。

その瞬間、笑顔が消え顔色が変わった。




「早くこちらへ!」


「あぁ」




Aを抱え、胡蝶の後ろをついて行く。

俺が通った跡には、ぼたぼたと血溜まりができた。




案内された治療台にAを横たえる。






「正直厳しいですが……最善を尽くします。

ありがとうございました。では冨岡さんは、これで」




「…嗚呼……。


…………ッ!?」





悠長に話などしている暇がないくらい、Aの状況は悪いのだろう。

俺はあっという間にお役御免だ。





胡蝶に部屋から締め出される直前にAを振り返り、そして気づいてしまった。



Aの隊服のボタンが、金色じゃない。






刀は鬼との対戦で吹っ飛ばされたのか、身に付けていなかった。

今のAは柱であると証明できるものを持っていないことになる。


胡蝶は現在ただの女性隊士としか思ってないし、これから彼女の正体に気づく事はないだろう。

随分と用意周到だ。








…わざとなのか?









だとしたら、


こうなる事は想定済みだったのか?





「無謀な事はするなと、何度も言っただろう…!」






それに不死川のことはどうするつもりだ。


好いた男に誤解されたまま、嫌われたままで良いのか?









ーーー『友達だからね』









俺にあいつが言った最後の言葉はそれだった。

百合のような麗しい容姿とは裏腹に、子供のようにニッと歯を見せた笑顔は向日葵のようだった。





だめだ。


まだお前は死んではいけない。

不死川にもその笑顔を見せてやれ。







俺は人の感情を推し量るのが苦手だ。

それでもわかる。

あんなに可憐に笑うお前を、不死川が嫌うはずがないだろう。




だから頼む。






「生きろ、A……!」

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れみ(プロフ) - 華花。さん» 華花。様はじめまして!コメントありがとうございます!とても嬉しいです…!続編でも頑張りますのでこれからも呼んでいただけると嬉しいです!! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - Royal×Edenさん» いつも感想ありがとうございます!続編でもまた会えるのを楽しみにしてますね! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。れみ様の書かれる言葉の一つ一つが物凄く好きです!お忙しいとは思いますが、体調にお気をつけて更新頑張ってくださいね。続編も楽しみにしております! (2021年11月2日 21時) (レス) @page49 id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます!実弥たくさん出せるように頑張りますね!!また続編でお会いしましょう〜! (2021年11月2日 0時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
Royal×Eden - れみさん» れみさんこんばんはRoyal×Edenです!!夜中までお仕事お疲れ様です。最近は余り仕事の続きやらワクチン接種で感想が遅れて大変御迷惑をかけてしまいました(´д`|||)いよいよ第三章に入りますが一体ヒロインはどうなるのか気になってきます(^w^)♪ (2021年11月1日 19時) (レス) @page49 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れみ | 作成日時:2021年4月21日 19時

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