第79話〜過去編〜 ページ33
・
『黙って待ってるなんて、出来ないよ…!』
取り残された私は、兄の言いつけを守らずに現場へ戻ろうとした。
だってここに居ても寒いし真っ暗で怖いし、
何より兄が心配で仕方がない。
『はぁっ、はあっ、お兄ちゃん…っ』
寒さに白む息を吐きながら走る。
ボロボロだった靴は脱げ、枝や石が足に刺さって血が出たけど痛みなんて感じる暇はなかった。
ようやくさっきの男たちの影が見え、
そして…
『………っ』
首を締められぐったりしている兄。
嗚呼、もう駄目だ。
直感的にわかってしまった。
その後、
兄が殺された、と言語化された理解が追いついてくる。
どんどんどんどん、頭の中が整理されていく。
私は親なし子で
貧しくて
卑しい身分で
町のみんなから嫌われいて
ちょっと綺麗だからって調子に乗っていると責められ
妬まれ恨まれ憎まれて
それが理由で家族が殺された
私のせいで、家族が死んだ。
『…違う』
私のせいじゃない。
私の親がいないのも、身分が低いのも貧しいのも私のせいじゃない。
恨まれたのだって、みんなが勝手に嫉妬しただけだ。
私は何もしていない。
私は何も悪くないのに、家族が殺された。
他人の私利私欲、私怨のせいで死んだのだ。
『殺したい』
初めて、殺意というものを自覚した。
死んでほしい。
今目の前にいるこいつらが、
さっき嘲笑っていった女たちが、
地獄に落ちてしまえばいいのに。
強く強く、願ってしまった。
そう、だから。
「な、なんだこいつ…!!」
「化け物だ!!!逃げろ!!!」
「「ぎゃあああぁぁああ!!」」
だから。
・
・
・
「弱者に興味はないが…俺が恐ろしくないのか、小娘」
私の願いを一瞬で叶えたその“鬼”という存在に、
心から憧れを抱いてしまった。
961人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れみ(プロフ) - 華花。さん» 華花。様はじめまして!コメントありがとうございます!とても嬉しいです…!続編でも頑張りますのでこれからも呼んでいただけると嬉しいです!! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - Royal×Edenさん» いつも感想ありがとうございます!続編でもまた会えるのを楽しみにしてますね! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。れみ様の書かれる言葉の一つ一つが物凄く好きです!お忙しいとは思いますが、体調にお気をつけて更新頑張ってくださいね。続編も楽しみにしております! (2021年11月2日 21時) (レス) @page49 id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます!実弥たくさん出せるように頑張りますね!!また続編でお会いしましょう〜! (2021年11月2日 0時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
Royal×Eden - れみさん» れみさんこんばんはRoyal×Edenです!!夜中までお仕事お疲れ様です。最近は余り仕事の続きやらワクチン接種で感想が遅れて大変御迷惑をかけてしまいました(´д`|||)いよいよ第三章に入りますが一体ヒロインはどうなるのか気になってきます(^w^)♪ (2021年11月1日 19時) (レス) @page49 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:れみ | 作成日時:2021年4月21日 19時