第78話〜過去編〜 ページ32
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『っ!?』
不意に体が宙に空いた。
『離して!!』
「おー威勢が良いじゃねぇか。オイ、コイツのことか?」
私を抱えていたのは、見知らぬ大男だった。
この町の人じゃないのは一目でわかった。
そして、手下みたいな男達を何人か連れている。
「ええ。その娘、本当に目障りなの。少し綺麗だからって調子に乗っているのよ」
「少し…?いや…こいつはかなり美人だと思うが「五月蝿いわね!!!黙ってさっさと始末しなさい!」…へーへー分かったよ」
どうやらこの男達は、雇われたようだった。
わざわざ私を殺すために、そこまでするのか。
「まぁそんなにその子の容姿が気に入ったなら、好きになさい。最後に殺してくれれば結構よ」
『な、何言って…!』
ジタバタしても、私の力ではどうすることもできない。
「私達の幸せを奪ったんだから、当然の報いよ」
女達は、勝ち誇った笑みを浮かべながら帰っていった。
「女ってのはつくづく怖ぇなぁ。嬢ちゃん、怖かっただろ?俺たちが慰めてやるよ」
『嫌だ…!』
馬乗りされ、気持ち悪い手が服の中に入ってくる。
男達が何をしようとしているのか、分からないほど無知ではなかった。
そんな事されるくらいなら、今すぐ殺して欲しい。
恐怖と屈辱感で涙が溢れた。
逃げたいのに体がうまく動かない。
それに押さえつけられてしまっていて無理だ。
いつも私を守ってくれた神父様も死んでしまった。
怖い。
誰か、助けて…!
「A!!」
『お兄ちゃん…っ』
隣町まで買い出しに行っていた兄がタイミングよく帰ってきてくれた。
買ってきたものを男に投げつけ、怯んだ隙に私を救出した。
「A、すぐに隠れろ!!」
『どうして!?一緒に逃げようよ!』
あたりはもう真っ暗。
男達はこっちに迫ってきている。
逃げ切れる状況ではないと兄は分かっていた。
「ここに隠れてて。俺がなんとかするから」
『なんとかってどうやって!無理だよ!』
大人の男何人もを相手に、子供の兄一人で敵うわけがない。
それに、敵わなかったらどうなるか…
あいつらは、神父様を殺したんだ。
兄の事を生かしておくとは思えない。
「A。いい子にしてるんだぞ」
『お願い!ダメ!行かないで!!』
泣きながら必死に手を伸ばしたけど、
その手は空を切っただけだった。
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れみ(プロフ) - 華花。さん» 華花。様はじめまして!コメントありがとうございます!とても嬉しいです…!続編でも頑張りますのでこれからも呼んでいただけると嬉しいです!! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - Royal×Edenさん» いつも感想ありがとうございます!続編でもまた会えるのを楽しみにしてますね! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。れみ様の書かれる言葉の一つ一つが物凄く好きです!お忙しいとは思いますが、体調にお気をつけて更新頑張ってくださいね。続編も楽しみにしております! (2021年11月2日 21時) (レス) @page49 id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます!実弥たくさん出せるように頑張りますね!!また続編でお会いしましょう〜! (2021年11月2日 0時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
Royal×Eden - れみさん» れみさんこんばんはRoyal×Edenです!!夜中までお仕事お疲れ様です。最近は余り仕事の続きやらワクチン接種で感想が遅れて大変御迷惑をかけてしまいました(´д`|||)いよいよ第三章に入りますが一体ヒロインはどうなるのか気になってきます(^w^)♪ (2021年11月1日 19時) (レス) @page49 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れみ | 作成日時:2021年4月21日 19時