第69話 ページ22
・
「離してやれ」
「…んでテメェが首突っ込むんだ冨岡ァ…!」
「見ていられないからだ。見苦しい」
「アァ!?」
ググ…
『…っ』
苦しい…!
冨岡の一言に更に怒りが増した不死川。
私の胸ぐらを掴む手に力が入っていく。
『離せ…!!』
貴方はこんな、感情を力任せに表現する人間じゃないはずでしょ…!
何でこんな事をするの…!
離してほしい理由は苦しいからだけじゃない。
私の正体を知った時、絶対に不死川は後悔する。
どんなに私のことが嫌いだったとしても、女性に乱暴を働いたと知れば絶対に自分を責める。
私は貴方を許すけど、貴方は貴方を絶対に許さない。
だから、やめて…!!
『離せと言っているだろう!!!』
ドン!
渾身の力で突き飛ばした。
不死川がよろめいた隙に、一気に駆け出す。
情けなくも逃げた、と思われたかもしれない。
でもそれどころじゃなかった。
…もう限界だった。
『う…っ』
ぼろ、と大粒の雫が頬を伝う。
それと同時に足も止まってしまった。
こんな姿見られたら大変なことになるのに、動くことができない。
「…A」
しばらく立ちすくんでいると、追いかけてきていたらしい冨岡が後ろから声をかけてきた。
彼は動かない私を心配したのか正面に回り込んできて、私の目から溢れる涙を見てギョッとし辺りを見回した。
「…もう少しで不死川もこちらの方面に来るだろう。お前の屋敷より、俺の屋敷の方が近い」
何かを察した冨岡は、私を水屋敷に入れてくれた。
温かいお茶とお菓子を出されて、私が落ち着くのを辛抱強く待ってくれている。
前にここに来た時、冨岡に忠告されたのを思い出した。
精神的にも限界が来るって言われたっけ。
言われた通りになっちゃったなぁ。
『ごめん、冨岡』
「謝られるような事はされてない」
『でも…』
相変わらず愛想はないけど、
変に感情移入されるよりよっぽど楽だった。
「ただ、流石に説明くらいはして欲しい」
『…わかった』
もう、隠しておくのも無理みたいだ。
それに冨岡なら大丈夫だろう。
男装してることもずっと秘密にしてくれているし。
私は、不死川にこの姿で初めて会った時の事から今に至るまで、洗いざらい全て順を追って説明した。
961人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れみ(プロフ) - 華花。さん» 華花。様はじめまして!コメントありがとうございます!とても嬉しいです…!続編でも頑張りますのでこれからも呼んでいただけると嬉しいです!! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - Royal×Edenさん» いつも感想ありがとうございます!続編でもまた会えるのを楽しみにしてますね! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。れみ様の書かれる言葉の一つ一つが物凄く好きです!お忙しいとは思いますが、体調にお気をつけて更新頑張ってくださいね。続編も楽しみにしております! (2021年11月2日 21時) (レス) @page49 id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます!実弥たくさん出せるように頑張りますね!!また続編でお会いしましょう〜! (2021年11月2日 0時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
Royal×Eden - れみさん» れみさんこんばんはRoyal×Edenです!!夜中までお仕事お疲れ様です。最近は余り仕事の続きやらワクチン接種で感想が遅れて大変御迷惑をかけてしまいました(´д`|||)いよいよ第三章に入りますが一体ヒロインはどうなるのか気になってきます(^w^)♪ (2021年11月1日 19時) (レス) @page49 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:れみ | 作成日時:2021年4月21日 19時