思ヒ出 ページ6
思ひ出
「……いるって、言ったらどうする？」
和「…どうもしない笑 ただ気になっただけやから」
パッと繋がれた手が離れた
ひとりぼっちの右手が寒い
「和也は、いるの？」
和「…おる。誰かは言わん笑」
ドンと鈍器で殴られたみたいな衝撃
「そ、っか…」
やっぱそうだよって気持ちと、どうしようもない悲しみが襲ってきて、泣きそうになる
今にも零れそうな涙を唇を噛んで堪えて歩く
こうやってなんてことないフリだけが上手くなって、肝心の気持ちはぐっと飲み込んだ
和「Aの好きな人って誰？」
「いるとは言ってない」
和「でもおるんやろ」
「…うん」
和「俺の知ってる人なら協力すんで」
和也が急に止まったから後ろで声が聞こえる
その発言、私が和也のこと好きだって分かって言ってる？
分かってないよね。分かっていたらきっと和也は優しいから困った顔で笑って謝るんでしょ？
知ってるもん
「いい、どうせ叶わないから」
和「えー、なんでよ」
「分かってるから、いいの」
駄々をこねるような、拗ねるような、そんな声が追いかけてくる
和「そんな寂しいこと言わんといてやぁ」
「和也は気にしないでいいよ。それよりアイス…」
和「わかった！丈くん！」
「違うもういいって」
いつもはすぐに話変わるのに今日に限って、しかもこの話題を引きずりたがる和也にイライラしはじめる
和也は何一つ悪くない
だからキレるのはお門違いだって分かってる。
でも、好きな人になんで私はこんな話しなきゃいけないの？
和「あ！末澤やろ！」
「だからっ」
もうやめてよ！ の、言葉は不発に終わった。
開きかけた口は誰かに塞がれていて、優しく背中をトントンされてる
末「はい。そこまで！」
「誠也くん…」
和「あぁぁぁあ！末澤！どこおったん！」
末「俺責める前にAに謝り」
和「え？」
末「自分は好きな人言わんのにAに言わせるんはお門違いちゃう？」
「いいの！気にしないで！」
和「いや、ごめん。やりすぎやったわ」
「ううん。いいよ」
末「よし、仲直り」
「…ありがとう」
和也には聞こえないよう小さく囁く
末「気にせんで、後で話聞いたる」
ニカッと笑った顔になんだか凄く安心した。
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リンスー(プロフ) - コメントありがとうございます！更新速度亀さんなので気長によろしくお願いします！ (2021年9月24日 19時) (
レス) id: 8d41dabc51 (このIDを非表示/違反報告)
enen(プロフ) - めちゃくちゃ好きなお話です！（ ; ; ）大橋くん大好きなのでこれからどうなるか楽しみです＾＾ (2021年9月22日 1時) (レス) id: ccd410e4db (このIDを非表示/違反報告)
リンスー(プロフ) - コメントありがとうございます！これからもご愛読して頂けたら嬉しいです！ (2021年8月25日 17時) (レス) id: 8d41dabc51 (このIDを非表示/違反報告)
かつみ(プロフ) - うわぁ、どきどきわくわくです (2021年8月20日 21時) (レス) id: 6fcedf22d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リンスー | 作成日時：2021年8月7日 2時
