番外編：本編の少し後 ページ14
----後日----
「Aー！」
『今、行きますよ』
部屋の外から聞こえるゾムの声に急かされるように身支度を済まして、廊下へと出ると施錠をして、ゾムと二人で並んで廊下を歩く。
「楽しみやな、A」
『一応、潜入捜査の仕事で行くんですよ』
「隣国の町の様子を把握するための潜入捜査なんてついでで、ええやろ」
『よくないです』
「海が近いから海鮮物がうまいらしいで、食べに行こうや」
『でも』
「ほんで、甘いもんで言えばパフェ」
『っ』
食べたい。
ゾムと会ってからどんどんと甘いものが好きになっていっている。もちろんゾムもそのことについて気付いているらしく、最近はデザートやお菓子を口実にいろんなお店に連れていかれることが多い。
「その顔は決まりやな」
『食べたらきちんと町を見て回りますよ』
「えぇよ」
「それにしても、Aと出かけるなんて久しぶりで、わくわくするわぁ」
『ようやく許可がでましたからね』
体調面に関して、しんぺい神君が外出を禁止していたため外に出ること自体が久しぶり、さらにゾムと二人で出かけるとなる随分前に行ったきりだった。
「ほんま、ぺ神は厳しすぎやねん」
『ぎりぎりまで渋っていましたね』
他のメンバーならともかくゾムと行くと食害があるだの、怪我をするだのと箱入り娘に対するような過去保護っぷりをみせた。そのたびにゾムは「Aに対しては(食害を)しないし、守り通す」と言い続け、何度か話し合って外出までこぎつけた。
「俺のAなのに、危ない目にあわせるわけないやん」
『一番の過保護はゾムですもんね。』
ゾムは目を覚ました直後のように食事を食べさせたりはなくなったが、前と比べて就寝時の距離は近く、休日の過ごし方は常に一緒にいるようになった。
それに幹部以外の人物が近づくようなことがあれば、警戒し場合によっては牽制をする。
口にはださないが、誰よりも気にかけているのは明白だった。
「当たり前やろ、二度とあんな思いした ない」
呟くように紡がれた言葉に、ゾムの顔を盗み見ると目の色が濁っていた。
『僕も、ですよ』
自分の腕の中で冷たくなるゾムとあの笑顔は一生忘れられないし、あの時の絶望は二度と味わいたくない。
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屋良(プロフ) - mitsuruさん» 感動したと言ってもらえると嬉しいです！胸が苦しいような（シリアス）期間が短いようにと日々更新し続けようやく明るくなってきたので、私としてもホッとしています。 ７月中には完結予定なので、最後までお付き合いください。 (2020年7月5日 0時) (
レス) id: 9be5b6414c (このIDを非表示/違反報告)
mitsuru(プロフ) - 感動しました、まじよかったですしんどい。。応援してますがんばってください！ (2020年7月4日 23時) (レス) id: 0626d5ebee (このIDを非表示/違反報告)
屋良(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます。オリタグ外しました。 (2020年7月3日 9時) (レス) id: 19fa7484b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：屋良 | 作成日時：2020年7月3日 0時
