【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ10)

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#9.お隣の遊佐さんページ10

「亜宮さんって言うんですね」

「えーっと、初めまして。

隣の○○号室に住んでる遊佐浩二といいます

こちらこそよろしくお願いします。」

『あっ…！よ、よろしくお願いしますっ』

礼儀正しく頭を下げる遊佐さんに私もまた頭を勢いよく下ろす。

いかつい格好をしているが、怖い人ではなさそうで
一先ず安心した。

降ろしていた頭の上で、あ。そういえば…と発する低音ボイスに顔をあげた。

「実は、今日のお昼頃から隣が騒がしかったので新しい人が引っ越してきたんだなってのは知ってたんですけど、忙しい中お邪魔になると悪いかなって思って声かけれずにいたんですよ。」

そう言って目を細めて笑う遊佐さんに、私は気を許すと共に再度また体に力が入った気がした。

『あ、そうだったんすね…！
五月蝿くしてしまってすみません…！！』

「いやいや、五月蝿いなんてそんな！
引っ越しの音なんてここじゃ日常茶飯事みたいなもんですから。そんな気にしないでください」

ね？と爽やかに笑う遊佐さんに思わず顔に熱が集まる。

『あ、ぇ……っと…、、これからよろしくお願いします…！

外出前にお時間とってしまいすみません。

でh…

わっ！？！』

「！？」

この今の一瞬でなにが起きたか説明すると、

少し話せたとはいえ気まずいのは変わりなかった私は、強引に後半早口で無理矢理話を切り上げ、後ろからドアノブを掴みいそいそと逃げ帰ろうとした。

が、

何故か踵から足を滑らせ後ろに転倒し、

勢い余ってお尻を強く打ち、尻もちをついた。

遊佐さんの目の前で。

「あ…………、」

『………………………えっ』

私はなにが起こったのかよく分からなかった。

唯一覚えてるとするなら、滑る前に目の前がスローモーションに見えたくらいだ。

現状把握に時間がかかり、打ったお尻の痛みは時間が経つごとにつれてじわじわと立ち込める恥ずかしさに変わっていった。

『っっっ〜〜〜〜〜〜〜！！！！！！！！////////』

『しっ、、しつれいしましたっっ…！！！！！////』

目の前にいた遊佐さんを気にする余裕なんてない私は、もはや自分でもなにを言ったのか分からない早口言葉を並べた後、急いで玄関のドアを開けて即鍵をかけ、寝室に続く廊下をバタバタ走って新しいふかふかのベッドにダイブした。

亜宮 A 一人暮らし1日目。

最悪のスタートを切りました。