【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ7)

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#6.憧れの一人暮らしページ7

遡ること半年と2ヶ月前。

社会人としての階段を少し登った私は、両親にある提案を申し出た。

そう、一人暮らしの提案だ。

最初は勿論両親は猛反対で、

「おまえが一人暮らしなんて出来ると思ってるのか！」

やら、

「女の子が一人で一人暮らし、ましてやAがなんて…、家事がろくに出来ない貴方が生活していけると思ってるの！？

しかも女の子が一人暮らしなんて危険すぎる！！」

と当時両親にこっぴどく怒られながらも、必死に頭を下げて当時慣れないごますりをし、母の家事を隣で死にものぐるいで手伝ったのは遠き良い思い出だ…。

《"一人暮らし"って言ってるんだから、一人で生活するのはあたりまえだろナニ言ってんだお前ら》

という心の声が出かかったが、そんなこと冗談でも言ったら二度と家から出られる保証がない気しかしなかったので、口を閉じて両親からの許諾を貰うまでの辛抱だ…！と色々我慢した。

正直言って、あの時の私は就活の時より真剣に頑張っていたと思う。

出来ればもうあんな生活は送りたくないが…

そんなこんなもあり、それから少しの時間が経った頃。

ついに両親からの渋々OKを貰った私は、ウキウキしながら姉と一人暮らしをする物件を探し、そして無事に住まいが決まり、憧れの一人暮らしを始める準備を進めていた。

そしてついに、

新しいスタートを切る日がやってきた。

「ねえちょっとA…ほんとに大丈夫？？」

『お姉ちゃん今日でそれ何回目？流石にもう聞き飽きたよ』

う～んと首を曲げ、眉を八の字にしているこの人物は、

私の姉の亜宮待知(ｱﾐﾔﾏﾁ)。

私とは4つ離れた頼れる姉だ。

因みに既婚者で子どももいる。

『もう！お姉ちゃんまでそんな顔するの？
私のことなら大丈夫だから！』

「あんたは自分のことだからそんな軽いこと言ってられるけど保護者としては心配なんです〜」

『保護者じゃなくてお姉ちゃんじゃん…』

細かい事はどうでもいいの！と強く遮られた後、短い髪を揺らして私の手を握るお姉ちゃん。

「ねえ、やっぱり一人暮らしやっぱり辞めにしない？」

『はあ！？今更何言ってんの！！！』

突然の一人暮らし拒否宣言に私は声を高くあげた。

「だってぇぇー！！Aが一人暮らしなんてなんか寂しいんだもん！遠く離れて行っちゃった感じでえぇー！！」

びゃああぁと駄々をこねた子どものように声を荒らげながら私の肩を掴んでぐわんぐわん揺らすお姉ちゃん。

そんな様子のお姉ちゃんに私は小さく肩で息をつき、お姉ちゃんの方を向いた。