#5.心見透かしかき乱される ページ6
「……う〜ん、と…」
「Aちゃん？ちょっとそんなに熱い視線で見られると恥ずかしい…。」
『これっぽっちも思ってないですね分かります』
ぽっと頬を染める素振りをする遊佐さんに冷たい視線送り、
考えるのをやめた私は隣を歩く遊佐さんに問いかける。
『でも、遊佐さんも飽きませんよね〜』
「？なにが？」
『こんな仕事でしか生きてないつまんない女に構って、わざわざ話しかけにくるような人、遊佐さんくらいしかいませんよ。』
私が自嘲気味に苦笑いを浮かべると、
遊佐さんはそっか…じゃあ、と落ち着いた口調で続けた。
「そんな毎日一生懸命生きる君に声かけるのは、
僕だけで充分だよね？」
『っ……なんですかそれ
大体、私にそんな声かけたってなにもないですよ』
いつも通りの軽口を吐きながらも、また体に熱が籠る感覚がした。
「んー、そうかな？さっきAちゃんは私みたいなつまんない女といて飽きないのかーって聞いたけどさ。
僕はAちゃんと話してるとすごく楽しいし、なにより見てて反応に飽きない！」
『ちょっと！！』
指を指して私をおちょくる遊佐さんに軽く怒る。
すると声色とケラケラ笑っていた表情をすぅっと変え、足を止めて真剣な顔を向けてこちらを見た。
「でも、
Aちゃんとこうやって一緒にいるのは、
飽きるどころかもっとハマっちゃうかも。
これ、ホントだよ？」
『…っ！！////』
なんならずっと一緒いる？と笑う遊佐さんに調子乗らないでくださいと一蹴すると、ごめんごめん笑と笑って返された。
どう聞いていてもバカにしてるようにしか聞こえないが、笑ってまた歩き出す隣の人を他所に私の体はまた熱を帯びた。
この人は時々、今みたいな意味深な言葉を投げかけてくる。
さっきまでケラケラ笑っていたかと思えばこちらの油断を突くような、心見透かすような言葉と視線を送ってくる。
『(また、この人にかき乱されてる…)』
少し不服になりながら、熱くなった熱を誤魔化すように遊佐さんにツッコミを入れた。
『やっぱり今まで私の事おちょくってたんですね遊佐さん！』
「だって、Aちゃんいい反応するから見てて弄りがいがあるんだもん笑」
『は。ちょ、それどういう意味ですか！？』
「んんー？ちょぉっとよく聞こえないなぁー笑」
こうして笑う遊佐さんを目にしながら、どうしてこんなよく分からない関係になったのか、何故やたらと絡まれるようになったのか…めんどくさいが1つ1つ説明していこうと思う。
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作成日時：2023年9月12日 21時
