【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ46)

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#44.鑑賞会とまさかの展開(＊) ページ46

遊佐視点

Aちゃんに座らされ、あれから数時間が経過...

確か僕は、Aちゃんと一緒にご飯を食べた後お酒でも飲みながらゆっくりしようと考えていたはずだった...

しかし、

《お前倒すけどいいよね？答えは聞いてないっ！！》

『ひゃああ〜！！！リュウたぁあ〜！！！！！』

僕はかつて過去に出演していた作品を思いがけない人物と見ながら共にひとつ屋根の下、同じソファーに座ってお酒片手に鑑賞会を開いていた。

隣にはひとつ間を空け、興奮した様子で目を輝かせながら食い入るように見るAちゃんがちょこんと座っている。

落ち着いた性格に見えるクールな容姿とは裏腹に、ツンツンしている上に負けん気が強く、少しからかうとすぐ赤くなる照れ性でツンデレな人物は、

比較しても比べ物にならないくらいふにゃふにゃした姿で黄色い声をテレビに送っている。

若干頬も赤くなっており、軽く酒が回って酔っているのかテンションが高い。

こんなハイテンションな彼女を見たことがなかったという戸惑いと自分が出ている作品を見る現状も含めてとても気まずい...

作品がクライマックス迎える前に自分自身がクライマックスを迎えそうだ。((

...察しがついていると思うが、僕は声優というお仕事をしている。

そしてこの事は、Aちゃんには伝えていない。

が、別に隠しているつもりではなかった

言う機会を待ち続け、絶好のタイミングのまさに今日、
打ち明け話すつもりだった。

しかし、予想外の出来事が起きた。

それが現在(いま)である。

なんとか約束をこじつけた人物の部屋に自分が出演していた作品のDVDがあり、それを一緒に鑑賞するなんてまさかの展開、誰も想像出来るわけがない。

DVDを見た時は動揺が隠しきれず、思わず声をあげて聞いてしまった。

情けないことだが、お酒の力を借りつつもAちゃんへ正直に話そうとした矢先にこれだ。頭を抱える以外の何ものでもない

「(うぅーん、どうしたもんかなぁ)」

すっかりテレビに夢中なAちゃんを横目にモヤモヤと心にかかる雲をビールでぐいっと流し込む。

普段つんけんしている人物とは思えないほどキラキラさせた目や、子供のように楽しむ横顔を見て僕はふっと顔を緩ませた。

「ほんとに好きなんだね、これ。」

『そりゃあもうっ！大好きって言葉だけじゃ足りないくらい好きですよ！！』

「ふふ、そっか笑

それでAちゃんはどのキャラが1番好きなの？」

テレビの音声を耳にしながら、聞きたかった話を迷わず振った。