【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ42)

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#40.無意識×強引ページ42

「どうしたの〜？」

キッチンから顔を出して呼んでみると、リビングでくつろいでいた遊佐さんがトテトテ軽い足取りでやってきた。

『一通りとりあえず作ってみたんですけど、味の方が不安なので...遊佐さん味見してもらえませんか？』

「えっ？僕が確認するの？

Aちゃんが良ければ僕はそれで全然いいんだけど、」

『すみませんそれが私、味音痴で...。なので味は遊佐さんに確認してもらった方がいいかなって思いまして』

「あーー、なるほど？」

少し間を置いてから分かったよと頷いた遊佐さん。

早速食べてもらおうと鍋から小さいじゃがいもとお肉を小皿によそり小皿とお箸を持つ。

『はい遊佐さん、どうぞっ』

小ぶりのじゃがいもを箸でつまみ、遊佐さんの方へ向けた。

すると目を見開き、目の前の私を見て固まった。

『？遊佐さん？』

「…っ！あっ、えっとそのー...、」

なにやら言いにくそうな顔をして目を逸らす遊佐さんに私はハッと気づく。

『味見そんなに不安でした？だっ、大丈夫ですよ遊佐さん！

味音痴とはいえ、一応自分でも食べられるような物を作ってますから！！』

「い、いやっそうじゃなくてね...！汗」

『つべこべ言わずに食べてくださいほらっ！』

「いやAちゃんっ？ちょっと強引じゃない！？

ちょとまっ...、あっつ！！！あついあつい！！」

後ろへと下がる遊佐さんにじりじりと距離を詰め、隙が出来た瞬間を狙って出来たてほかほかの肉じゃがを目線上の口に突っ込む。

あついあついとぷるぷる悶える遊佐さんの横でわくわくしながら感想を待つ。

『遊佐さんっ遊佐さんっ、どうですかっ？？』

「ぇっと...Aちゃん、

おいしいのは確かなんだけど、今それよりも口の中があつくて...それどころじゃ、、」

『！！美味しかったですか？よかったぁ〜、
あ！お肉まだ残ってますけど食べますっ？』

「い、いや…自分で食べれるからそこに置いといて......」

驚いた。自分の料理を人に美味しいって言ってもらえるのがこんな嬉しいだなんて思ってなかった。

今も口を押さえている遊佐さんを見て少し強引すぎたかなと不安になった私はグラスに水を入れて手渡した。

「あ、ありがとう...。

また後でつまみ食いしていい？」

『それはダメです』

こんな時でもちゃっかりしている遊佐さんを見て、この人はほんとにブレないな...と心の中で息をついた。