#34.ふたつのカップアイス ページ36
「えーっと、Aちゃん？」
『はい。なんですか？』
「ちょっと...量多くないですか？」
遊佐さんとの帰り際に近所のスーパーに寄ってもらい、買い物すること数十分。
カートの中には野菜やらお肉やらお惣菜やらがカゴの中を埋めつくしていた。
『し、仕方ないじゃないですか。いつもは自分の分のご飯しか作らないですし、どれくらい必要なのか量がわかんなくて...』
「そんなに考えなくていいのに〜。笑
僕はAちゃんのご飯が食べれればなんでも大歓迎だよ？」
『私の方はそうはいかないんですっ！』
全くこの人は...こっちの身も知らないでよくもそんな言葉を息を吸うようにぽんぽん言えるものだ。しかも人前で。
私の隣でにこにこ笑う人に呆れつつ、だんだん家が近づくにつれて緊張が増してきてる自分にも呆れ頭を抱える。
がしかし、確かに言われてみればいつもより買う物が多い気がしなくもないとカゴの中を見て息を詰まらせる。
「…！あ、Aちゃんちょっと待ってて？」
『？どうかしたんですか？』
「いいからいいから。まだ必要な物あるなら先見てて〜」
そう言って今いる売り場から他の売り場へと行った遊佐さんの背中を見つめながら、特になにも考えずに買い物を続けた。
それから数分後、遊佐さんがすごく嬉しそうな顔をしてなにかを持って帰ってきた。
『あ、遊佐さん...ってそれは...、』
「ふふっ、Aちゃんもどう？」
帰ってきた遊佐さんの両手にはカップに入った2つのアイスと私が飲みたかったほろ酔いのパックを持っており、その後次々とカゴの中へと入れた。
「えへっ」
『えへっじゃないですよ。ご飯食べるんじゃなかったんですか？なんでアイスなんか...』
「いやぁ〜、一緒に食べたいなって思ってさ？お風呂上がりに一緒に食べようよ」
『はあまたそんなこt...えっ』
「え？」
...今のは私の聞き間違いだろうか。
私は頭に手を抑えながら念の為もう一度聞き返す。
『......遊佐さん今なんて？』
「ん？一緒に食べたいなって」
『そこじゃなくてその次です！』
「お風呂上がりに一緒に食べ...」
『それですよ！！それ！！！』
わっびっくりした〜と目の前で呑気な声をあげる遊佐さんを他所にわなわなしながら頭を抱える。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 87人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2023年9月12日 21時
