【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ34)

今日:31 hit、昨日:11 hit、合計:17,983 hit

#32.昨晩の主犯格ページ34

遊佐さんが運転する車に揺られること少し...

車内の空気は思っているより落ち着いていた。

『で、聞きたいことたくさんあるんですけど。』

「なぁにー？僕の好きなタイプ？」

『......。』

「ごめんて。そんな冷たい目で見ないで」

隣の助手席から氷点下の視線を送っていると、前を向いて運転しながら苦笑いを浮かべて謝る遊佐さん。

んー、なにから話せばいいかなぁ...と呟きながらハンドルを握ってなにか考える素振りを見せる様子の遊佐さんを横から見つめる。

「Aちゃんさ、お昼の時に僕と話してた以降の記憶がないって言ってたよね？」

『はい。言いました。』

「えーっとそれなんだけど...僕が原因、かもしれない」

いや僕だよなぁ...とまた呟いて気まずそうに途切れ途切れに説明する遊佐さんに頭を傾げて聞き返す。

『えっ、遊佐さんそれってどういう...？』

「...実は昨日ね、お酒がなくて拗ねてたAちゃんに僕が飲んでたビールを渡して僕のやつ飲む？って聞いちゃったんだよ」

『えっ？』

私の驚いた声と共に遊佐さんの珍しく焦った声が車内に響く。

「いやっ、決して無理強いとかはしてないよ！？してないけど！お酒がなくてかなりへこんでたみたいだったから...さ。

つい...」

ごめんと小さく呟き、肩を落として落ち込む様子の遊佐さん。

信号が赤へと変わって前へと進んでいた車がゆっくりと速度を落として次第に止まり、車内にはなんとも言い難い気まずい空気が流れる。

静かに考えた後私はあることに気づき、ハッとしてからため息混じりに顔を伏せた。

『っはぁぁ〜〜、なるほどそういう...。

だから今朝の頭痛も...』

「！やっぱり二日酔いになっちゃってたの？ごめんねほんとにほんっとごめん！あの時僕が渡してなければっ...」

『わわっちょ、落ち着いてください遊佐さん！
私、気にしても怒ってもないですよ！！』

ハンドルに顔を伏せる遊佐さんに焦りながら口を開いて言うと、横目でちらりと心配と不安を含んだ目で私を見た。

『実は私、それなりに強いお酒飲んじゃうと記憶飛んじゃうみたいで...気づいたら朝ってこと結構あるんです。

それで後から話を聞くとだんだん忘れてた話が思い出してくる、といいますか...はい。』

人騒がせな酒飲みなんです。と目を逸らしながら今度は私が説明する。

すると、隣の運転席の方から深いため息が降った。

「もう、そういうの早く言ってよ」

隣に視線を向けると、ハンドルにもたれながら安堵の表情を覗かせる遊佐さんがいた。