【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ33)

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#31.待ち人定時ダッシュページ33

仕事に再び戻り数時間が経過し、定時に差し掛かった頃。

遊佐さんとの通話以降、あれから私はなにも考えずただ黙々と仕事をこなし、定時の予鈴と共に会社を出る支度をしていた。

「今日はなんだか急いでるね。なに〜男〜？」

『遥が期待してるような用事ではありませんよー』

ざんねんでした〜。とそそくさと荷物をまとめながら言う私の横でちぇーつまんないのと口をとがらせる遥。

終礼の鈴が鳴り、遥や周りの人にお疲れさまでした〜と言って会社を飛び出し、待ち人が待つ最寄り駅へと足早に向かった。

..........まぁ、男なのは否定しないけど。

朝と同じく電車やらバスやらを乗り継いで帰ること1時間と少し。今日も今日とて無事仕事を終え最寄り駅へと帰ってきた。

少し前までまだ明るかった橙色の空は今ではもう夜の色へ染まっており、微かに小さい星がきらりと瞬いている。

そんなすっかり暗くなった空を見上げながら、私はいつもの道をへとスタスタ足を進めた。

すると先にはいつもの人物がガードレールに腰を預けながら誰か待っており、そのスカした姿になんとなくムカつきを覚える。

バックにはハザードランプがチカチカと点滅し、停車している車が珍しく止まっていた。

『遊佐さん。』

「おかえりなさいAちゃん、待ってたよ。」

もはや日常と化してきたこのやり取りに心の中でため息をつきながら、バックのランプの灯りに照らされ口元を緩めてにこりと笑う遊佐さんを少し見つめてから、後ろに停めてある車に目をやり口を開く。

『...今日は車の日だったんですね』

「うん。今日は一日中移動の仕事だらけな日だったからね」

あ。それとさ、と続ける遊佐さんに？を浮かべる。

「こうやって車をバックに待ってるの、なんかカッコよく見えない？」

どう？と無駄にイイ声をしながら整った顔でキメ顔する遊佐さんになんとなくムカつき、静かに冷めた視線を送ると拗ねた様子でぷんすこ怒った。

「っちょ、なにその顔！」

『いやー、遊佐さんカッコイイなーって思ってーはは〜』(棒)

「このやろっ...！あぁーもうっ、早くお乗りお姫サマッ！！」

『最後やけくそになるんですね笑』

「笑笑ほら、早く乗って。」

私はツッコむのも忘れて、遊佐さん自ら開けてくれたドアにお邪魔しますと言ってから車へと乗り込んだ。