#30.思い出せないもやもや ページ32
《そういえばだけど...》
《Aちゃん、昨日あれから大丈夫だった？
あと今朝とか。》
遊佐さんからかけられた言葉に驚きつつ頭を傾げながら返事をした。
『えっ？昨日と今朝、ですか？あぁ、はい。
今日の朝は起きた時に少し頭が痛くて...少し寝坊しちゃって朝バタバタしてましたけど無事に遅刻せず会社に間に合うことが出来ましたよ。
それでえっと、昨日は確か...』
《あーそっ、か...。
昨日外で一緒に話してたんだけど、途中からあんなことがあったから僕ずっと心配でさ...
今朝も連絡したんだけどしばらく経っても既読もつかないからどうしようって思ってたんだよ》
念の為とはいえ連絡先交換しといてよかったよ。と安堵した様子の遊佐さんの一方で私は頭の上に？がたくさん並んでいた。
...あんなこと？
確かに昨日、遊佐さんと少し外で話したのは覚えている。
だがしかし、その後のはっきりとした記憶は私にはなく、時間が経った今でも思い出せないのだ。
私だけ思い出していないのもなんだかモヤモヤするので遊佐さんに思い切って聞いてみる事にした。
『あの遊佐さん。ちょっと聞きたいんですけどさっき遊佐さん、私と一緒に話してたって言いましたよね？
実は私、なんでか分からないんですけど中途半端な所までしか覚えてなくて...なにか知ってるのでしたら教えてほしいのですが......。』
恐る恐る聞いてみると、驚いた様子で私へ聞き返した。
《えっ...じゃあ昨日のあったこと、
もしかして覚えてない...？》
『えっ、とごめんなさい。なにがあったのか分かりませんが覚えてないです...。』
私もしかして、昨日遊佐さんにとんでもないことしたのでは...！？と不安に煽られながら申し訳なく謝っていると、遊佐さんはなにやら小さくため息をつき、そっか...。と呟いた。
ちょっとまって今の落ち込んだ感じのそっか...ってなに？？
私やっぱり遊佐さん相手にやばいことしでかしたの！？
なにやったの記憶のない時の私！！！！汗
今すぐ携帯をぶん投げたい衝動を抑えて話を続けようとしたその時。
《遊佐さぁーん！そろそろお時間です〜》
《あ、うんわかった。ちょっと先行ってて？
あ"ぁーえっとごめんAちゃん、僕そろそろ行かないとだからこの続きはまた後で。詳しいことは後で話すから！》
『えっちょっ！』
ごめん！と言ってこっちの言い分も聞かずに一方的に切られてしまった私は呆然とツーツーと音がする携帯を見つめ、不服な気持ちのまま仕事へと戻った。
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作成日時：2023年9月12日 21時
