【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ26)

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#24.秋朝、軽い頭痛と寝坊。ページ26

…なんだろうか。

上半身から足先にかけて冷えた感覚がする。

かといって体に伝わる優しい熱とふかふかなベッド、なにより眠気から逃れられる訳もなく、少し寝返りをうってまた夢の中へ戻ろうと瞼を深く閉じる。

するとそれを阻むようにバイブ音を鳴らしながら無慈悲に部屋へアラーム音が鳴り響いた。

《…～♪はらり、僕らもう息も忘れて瞬きさえ億劫～

さぁ、今日さえ明日過去に変わるただ風を待つ～～♪》

『ん〜…、』

寝ぼけた意識のままアラームが鳴っている方に手を伸ばし携帯を探す。

《だから僕らもう声も忘れてさよならさえ億劫

ただ花が降るだけ晴れり今、春吹雪〜〜♪……》

『ん"〜、んっ…！』

いつの間にやら外は明るくなり、朝の優しい光が部屋に指す。

目が覚めるとベッドの上は無惨な有様で、布団は足に絡みついた状態でほぼ体にかかっておらず、着ていたゆるいTシャツからはお腹が丸見えな状態だった。

なんとかアラームを止めて眠気で閉じそうになる瞼を開き、覚醒してきた意識と共にゆっくりと体を起こす。

すると起きた途端、ピリッとした頭痛が頭に走った。

『いたっ…』

体が揺れる度にピリピリとした頭痛が走り、それほどまでではないが体も重くて少しだるい気もする。

朝は低血圧でしかも日によっては偏頭痛持ちという朝よわよわコンボの私が言うのもなんだが、やはり違和感を感じる。

だんだんと思考がまわるようになってきて、昨日のことを少しずつ思い出してみる。

『たしか昨日は、お酒飲もうとしたらお酒がなかったからオレンジジュースを持って外に出たら遊佐さんがいて…、

あれ……？』

ひとつひとつ思い出してみたが、何故か一部の所までしか思い出せない。断片的な記憶しかないのだ。

昨日はお酒を飲んでないというのにやはりなんだか変な気分だ。

それにこの痛み、私は知っている。

お酒の強い同僚や上司との仕事の付き合いで飲みに行って、
無理して飲んだ時に決まって次の日の朝に起こる頭痛。

しかし飲んだ記憶はなく…、

『ついに夢の中まで飲むようになっちゃったのかなぁ』

思い出せそうで思い出せない記憶に朝からもやもやしながら寝室のドアを開け、リビングの時計に目を移す。

その瞬間、寝ぼけた意識が吹っ飛んだ

私は思わず2度見して時計を確認する。

現在の時刻、7:52。

家を出ないと行けない時間、8:10。

そう、皆さんもうお分かりだろう。

時間がやばい。

『寝坊したぁーーー！！！！！！！！』

引用曲:春泥棒(ヨルシカ様)