【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ24)

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#22.ベランダ越しの晩酌ページ24

遊佐視点

『何してるんですか遊佐さん』

隣のベランダの柵越しから、いつものいかにも不機嫌そうな返事が隣から返ってくる。

「ん？丁度やること終わったから、
外見ながらお酒飲んでまったりしてたの。

そっちも同じ？偶然だね〜」

飲んでいたお酒に口をつけながらそう言うと、隣からいつもの辛口が飛んでくる。

『遊佐さんと一緒にしないでください。…こっちは色々あってむしゃくしゃしてる所なんですから』

ほっといてください。と冷たく僕へ吐き捨てるAちゃん

そんなつーんとした冷たい態度などお構い無しに気にせず話しかける。

「むしゃくしゃ？なにかあったの？」

『……どっかの誰かさんの所為でほろ酔い買い忘れたんです責任取りやがれください』

「なにそれ日本語〜？笑」

変わらず拗ねた様子でいつもの堅苦しい口調を崩し、敬語の中に皮肉を混ぜたよく分からない口調で話すAちゃんに思わず笑みが零れる。

僕は少し考えた後、持っているお酒の手を横の部屋の方へと伸ばした。

『…なにしてるんですか？』

「ん？いやー、お酒がなくてしょぼくれてるAちゃんにプレゼントって思って」

『プレゼントって…それ飲んでたやつじゃ、』

にこにこと平常心を保ちながら、どこかさっきよりどくどくと跳ねる心臓を落ち着かせるようにまた軽口を開く。

「あれっAちゃんもしかしてビール飲めなかった？ありゃりゃ残念だよ。こんなに美味しいのに〜…」

お酒を持った手をゆらゆらと弄びながら、黙りこくるAちゃんの反応を待つ。

煽り耐性0の彼女はこういう分かりやすい煽り文句に弱く、特に今のようなわざとらしい言葉を言うと分かりやすく沈黙した。

…ちょっとやりすぎちゃったかな、

少しの淡い期待を胸にしまい、おちゃらけながら渡そうとした手を自身の方へ戻そうと引く。

すると、引こうとした手に横から白くて柔らかい指先が僕の手を掴んだ。

『っ貸してください』

そう言って僕の手からお酒を奪い取ると、喉を鳴らしながらぐいっと僕の残りのビールを飲み干した。

隣のベランダな方でうげ、にがぁ…と小さく呟き悶えながらまた何かを飲むAちゃんの声に僕は呆然としていた。

「ゆ、ささん…、はい…

ぜんぶのみましたよ…ﾆｯｶﾞ』

そう言って空になった缶を僕の方へ返す白い手を見た後、自然と頬が緩んだ。

そして空になった缶を見つめながら、口角を上げてこう言った。

「Aちゃん、」

「関節キス、しちゃったね？」