【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ22)

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#20.好きすぎるが故に振り向かない(＊) ページ22

『(…あ、来る)』

ドライヤーで髪を乾かす手を止め、展開する場面に集中して目を向ける。

すると画面には、赤色のイマジンと水色のイマジンが話す場面が映し出される。

《おいこら亀公、

テメェ良いところ横取りしやがったなァ！！》

《えー、横取りだなんて酷いなぁ。あのままだったら良太郎とセンパイやられてたし…結果オーライってことで♪

ま、僕の手柄ってのは変わらないけど》

《ンだとテメェこの野郎〜〜〜！！！！！！》

ドタバタと画面の向こうでどつきあいをする2人を見て、お風呂から上がったのにも関わらずすっかり熱くなった頬を抑え、水色のキャラクターを目で捉える。

『はぁ……かっこいい…』

人気中の人気を誇る水色のイマジンはウラタロス。

ウラタロスは浦島太郎のカメをモチーフにしたキャラクターで、口が達者で女性を相手にするとすぐ口説き始める女たらし。

だが、敵と戦う時は一風違う姿を見せる所が主に多くの女性ファンを虜にしているとかなんとか…。

ウラタロスでいうところの
"お前、ボクに釣られてみる？"ってやつかな？

もちろんウラタロスは私も好きなのだが…

私がウラタロスを好きな理由はそれだけではなくて、ひっそりと好きな1番の理由は単純で、

声が…好みなのだ。単純に

落ち着いた振る舞いをしながらも物怖じせずにいざと
言う時は良太郎の体を借りながらも手助けするところや、

裏では何を考えているのか分からない人間味を感じる姿を持ちつつも、なんとなく大人っぽさを感じるウラタロスにぴったりなこの声にいつしかウラタロス以上に好きになってしまっていた。

だがここで一つ。

私は周りと少し違う1個人としての考えがある。

それは、"自分の好き"をそれ以上深追いはしないということだ

難しい話になってしまうが、例えば…

好きであるのは"その作品に登場するキャラクター1個人の姿"なのであって、自分達の世界とキャラクター達の世界観を繋げて壊すような考えはあまり好みじゃない、ということだ。

まぁ簡単に言えば、

"好きだけど、好きな物ほどそれ以上追わない。"

といったところだろうか。

公式設定やプロフィールを見るのは私も好きだし、気になる所があったら覗いたりしている。

だが、それ以上は求めない。

だって、それ以上求めてしまったら、

そのキャラクターや私が壊れてしまう気がするから。

だから私は、"好き"(Like)を"好きにしない"(Loveにしない)。

例えそれが、

キャラクターやその声だったとしても。