【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ18)

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#17.心配と連絡先ページ18

静かに発したその声に私は自然と目を向ける。

顔は光と影が交互に映し出し、どんな顔をしているのかよく分からないが、私が原因で遊佐さんに心配をかけていることはすぐに理解出来た。

私達に当たる光にふと気がつくと、さっきまで進んでいた足はもういつの間にか自宅のマンションの下へと着いて立ち止まっていた…。

「今はこうして一緒に帰ってるけど、もし僕が一緒に帰れなかった時の場合とか、それでもしもの事がAちゃんに起こった場合のことを考えたら…

凄く不安になって、心配になるんだ」

「…僕、こうして喋ってるけど、結構心配してるんだよ？

Aちゃんのこと」

いつもは大人っぽい雰囲気を出して、こちらをニヤニヤ見つめてきたと思ったら私おちょくってからかってくるこの人だけど…

『遊佐さん。』

ふとたまに見せるこどもっぽい表情を見ると、普段何考えてるのか分からない遊佐さんも、あぁこの人も同じなんだ。と少しこちらも安心したような、私だけじゃないんだ。っていう気持ちになる。

『知らない間にご心配かけてごめんなさい、

…なるべく遅くなっちゃった場合は、タクシーとか拾って帰るように心がけます。』

「うん。心がけてください。その方が僕も安心する」

そう言ってから私の頭を撫で、元の様子で笑う遊佐さん

いかつい指輪をした手が頭を撫でる度にごりごりして痛い。

すると遊佐さんはあ。となにか思い出した様子でまた私を見る。

「Aちゃん、スマホ貸して」

『え？なんでですか』

「いいから」

そう言って急かす遊佐さんに少し疑念を持ちつつ、
携帯のロックを解除して遊佐さんへ渋々渡す。

自分のスマホと私のスマホを互いに操作し少し待っていると、はいどうぞとスマホを返される。

『…なんですかこれ』

「ん？なんですかって、僕の連絡先だけど」

遊佐さんからの返答に自分でも分かるくらいはぁ？という顔をしているのが分かる。

そして連絡先を登録した本人は首を傾げて私を見つめる。

「こうしとけば、なにかあった時すぐに連絡出来るでしょ？」

まぁそうじゃなくても僕は大歓迎だけどね？と言って笑う遊佐さんにまたため息が出る。

この下りを今日のうちに何回見たのだろうか…と思いながらスマホをしまった。

私は前の人物の背中を見ながら、言おうか言わないか少し考えた後、足を進める遊佐さんを引き止めた。

【追記.2023.9/19】

『作品総合順位 62位』

『作品タグランキング 1位』

を頂きました！🙌✨

皆様ありがとうございます！！