【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ15)

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#14.絶っ対に……！！！ページ15

「この借り、返さなくていいよ？」

『…はあ？』

何が面白いのか理解が全く追いつかない私を見て、愉快そうにくすくす笑う遊佐さんにまたピキる私。

『…どういう意味ですかそれ。』

「言葉の通り、とだけ言っておこうかな」

そう言って元のにこにこ顔に戻って笑う遊佐さんを眉をひそめて精一杯睨みつける。

目つきの悪さだけは地元でも名があがる程の人物だった
私の目つきの悪さを舐めるなよ…！！？
(趣旨が変わってきてる)

「わぁ〜、顔こわいよ？」

『誰の所為ですか誰の…！！』

少しでも優しそう。良い人かも…！と思った過去の自分を
ぶん殴りたい。そして目を覚まさせてあげたい。

騙されてるよA…！！！！って

今日のうちで仕事よりも溜まったこのストレスは一体どこにぶつければいいのだろうか…

そんなくだらないことを考えていると、遊佐さんはドアを開きながらまた楽しそうに笑って言った。

「まぁ、さっき言ったことはその時がきたらまた教えるよ」

え、は…？"その時？"、"教える？"

なにそれ？どういうこと…？？

とりあえずニヤニヤしてるだけなのに色っぽく感じる
その顔やめてくれないかなムカつく

さっきより睨みをきかせながら聞きたいことがいっぱいあって引き止めようとする私を無視するかのように、ドアを開けて振り返りざまにまた声を弾ませた。

「短い期間の中でお互い色々あったけどさ？

その借り、"無期限延長"ってことで」

「それじゃあ、改めてよろしくね？

Aちゃん？」

お財布と携帯、もう落とさないように気をつけなよ〜と余裕そうにふふっと綺麗に笑って部屋へ入っていった背中を見送ったまま、私はその場に呆然と立ち尽くす。

嫌味ったらしく笑うさっきの遊佐さんの顔が脳裏に焼き付いて離れない。

体の底からは怒りなのか、はたまた手のひらの上で転がされた悔しさなのかよく分からないごちゃごちゃした感情がふつふつと湧いてくる

言葉にするのは難しいがただ、これだけははっきりと言える。

『っっっぜっったいに…

絶っっっ対にいつか、あのニヤついた顔を歪ませて、私以上に恥ずかしい思いをさせてやる……！！！！』

先程入っていった隣の部屋のドアをキッと睨みつけてから、このイライラしたやるせない感情を置いて、私も自分の部屋へと各々戻ったのだった。

そしてその時の私は知らない。

私が言い捨てた言葉をドア越しに聞きながら、くすりと笑う男の存在を…

これが私、亜宮Aと隣の部屋の隣人、遊佐浩二との出会いだった。