【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ14)

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#13.思ってた人と違った遊佐さんページ14

私は眉をピクピクさせながらも負けじと携帯を取ろうと手を伸ばす。

がしかし、携帯に私の手が届くことはなくギリギリのところでかわされてしまう。

『ちょっと…！っあの…！！
っっ……避けられたら携帯受け取れないんですけど！』

「えー？僕避けてないよー？」

『っ…ふざけてないで携帯返して下さい！！』

落とした携帯を取り返そうと遊佐さんのまわりをぐるぐるまわって手を伸ばすが身長差もあって上手く手が届かない。

「ほらもーなにやってるの？早く受け取ってよ〜
周りから見たら僕がいじわるしてるみたいじゃんか〜」

誰の所為だよという心の声が漏れそうになりながら、再度遊佐さんの腕に手を伸ばす。

服の袖を掴んでなんとか下に引きづろうとするが上手くいかず、袖口を引っ張っている手からもう片方の手へ携帯を持ちかえた後、また手の届かない方へ腕を伸ばす遊佐さんに怒気を含みながら声を荒らげた。

『ちょ、…っと…！！！なんで返してくれないんですか！！
わざとやってるでしょ！！』

「うん。わざとだよ？返さない理由は…

ん〜〜、なんとなく？」

『はぁ！？』

意味分からないことを言われて怒る私を他所に、
あははっ！猫みた〜い♪と携帯を持つ腕をゆらゆらさせて笑う遊佐さんに青筋を立てる私。

知らない人が見たらどう見えるのだろうか。

ていうか騒ぎすぎて近隣に迷惑がかかってないかとても心配だ…。

そんなことを考えながらぜーぜー息を切らして目線下から睨む私に対し、遊佐さんは今まで見せていた爽やかで優しい笑顔とはかけ離れた、それとは真逆の意地悪い顔をして上から私の顔を覗いていた。

その視線と視線が絡んだ時、背中に電流のようなゾワゾワする謎の感覚が流れた。

先程の騒がしかった空気とは打って変わり、元の静かな空気がその場に流れ、互いにじっと見つめ合う。

様子が変わった遊佐さんからなんとなく目が離せないでいると、遊佐さんは肩をゆっくり落としてからため息をつき、携帯を持っていた腕を下げて私の手の中へ携帯を戻した。

「…はぁ〜あ、なんか疲れちゃった。」

いじわるするのに飽きたのか、体をを伸ばした後に服の中から部屋の鍵を取り出し、私を横目にガチャリと鍵を開けてからなにか思い出したのか、あ。と思い出した様子でこちらを見た。

「亜宮さん」

『…なんですか。』

さっきのこともあり不貞腐れた態度で見る私にどこか楽しそうな、なにか企んだ悪い顔をして遊佐さんは言葉を弾ませながら続けた。