【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ13)

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#12.その笑顔、違和感につきページ13

その後のことは言うまでもない。

色々と罪(黒歴史も含め)を重ねすぎた私は遊佐さんに頭を下げてお礼と謝罪を繰り返していた。

『っあ、あの。本っ当にありがとうございました！
お財布、届けるために追いかけてくれたん…ですね』

「まぁ僕の顔見た瞬間に全力疾走した時はどうしようかと思いましたけどね？笑

でもあのままにしてたら亜宮さんも僕も後々に困ってたのは目に見えてましたし…久々にたくさん走らせてもらいましたよ。」

とははっと笑う遊佐さんに頭が上がらない。

こんな引っ越してきて間もない赤の他人、しかも私の気持ちの一方通行の所為でこんな優しい隣人に迷惑をかけた自分を責めるばかりだった。

そんなこんなでマンションに無事到着し、談笑しながら自分の階に到着したエレベーターから2人で降りる。

結局遊佐さんには自宅前まで荷物を持ってもらってしまい、すごくいたたまれない気持ちになりながら、気づかれないように自分に向けて小さくため息をついた。

『あの、遊佐さん。ここまでで大丈夫です』

「あぁそうだった。僕亜宮さんの荷物持ってたんだった」

はいこれ。と手渡された袋を受け取り、すみませんとペコリと頭を下げる。

『(なんだか今日は、慌ただしいのに時間が長く感じる一日だったなぁ…)』

そんな風に今日起こった出来事を物思いにふけりながら自宅の鍵を鞄から取り出そうとしたその時。

『あっ』

鍵を取り出そうとしたついでに鞄にしまっていた携帯を床に落としてしまった。

「あーもうなにやってんのー」

呆れた顔をして携帯の画面を心配しながら拾ってくれた遊佐さんにまたまた焦りながら謝る。

「携帯高いんだから壊しちゃったら大変だよ？

ほら」

はい。と手元に差し出された携帯に目を向け、ありがとうございますと言って手を伸ばし受け取ろうとした。

…はずだった。

『…？』

受け取ろうとした先を追って前に目を向けてみると、私の目の前にあったはずの携帯を渡そうとした手とその人物は少し間を開けた状態で先程と変わらずにこやかにその場に立っていた。

私はそこで謎の違和感を感じる。

遊佐さんの様子を伺いながら携帯を受け取ろうとまた手を伸ばしたその瞬間、遊佐さんはまたまた携帯持っている手を自身の方へ引き、表情を変えずまた口に弧を描いて言った。

「どうしたの？早く受け取って？」

この違和感の正体はこれだ。