【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ12)

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#11.勘違い+恥=? ページ12

「っはぁ…、止まってくれて良かったよほんと」

『ぁ…。は、い…』

あの謎の鬼ごっこをしたその後、結局どうなったのか結果から説明すると、私は今遊佐さんと共に同じ自宅のマンションへ向かい、一緒に帰っている所なのである。

しかし話はこれだけでは終わらない…

先程寄ったスーパーで買い物した荷物を何故か代わりに遊佐さんが持ってくれているという始末だ…。

最初は勿論、警戒と気まずさが限界突破している私は、首を横に振って自分で持てるので大丈夫です！と丁重にお断りしていたのだが、表情を変えずにこやかに笑うその笑みからなんとなく感じとった黒い圧に、私はゆっくり縦に首を振ることしか出来ず今に至る。

そしてわざわざ追いかけてきた理由にはなんとなく察しがついている。

「いやーでもすごいね。あそこの坂結構きついのに荷物持ちながらしかもその靴で走るなんて…追いかけてる身としてはちょっとハラハラしちゃったよ」

『……。汗』

理由は明白。あの日以来異常に避け続ける私を逃がさない為だろう。

軽く笑い飛ばす遊佐さんの隣を小さくなって歩く私。

2つ並ぶ影と落ち着いた2人分の足音が響く。

何を話したらいいのか分からず頭を悩ませていると突然遊佐さん吹き出して笑った。

「…っぷ」

「あははは！！亜宮さんって分かりやすいねぇ〜笑」

"分かりやすい"と言われた言葉に困惑して頭を傾げていると、遊佐さんは持ってくれている袋を揺らして続けた。

「あっ、えっとごめんね？急に笑ったりして
さっきからずっとすごい顔してたからさ？つい。笑」

えっうそ、、全然気づかなかった…。

ぺたぺたと自分の頬を触ると、遊佐さんは少しうーん、と考えた後にぽつりぽつりとまた話し始めた。

「えー…っと多分、いやきっと亜宮さん僕のこと誤解してると思うから先にこれ、渡しとくね？」

そういって服の中からゴソゴソとなにかを取り出し、前に差し出したのは私が鞄に入れたはずのお財布だった。

『…！？(な、んで遊佐さんが私のお財布を…
まさか私途中で落とし…？)』

ハッとなって遊佐さんの方を見ると、何も言わず困ったように笑って服を羽織り直していた。

じゃあっ、遊佐さんが息を切らしてここまで走ってきてくれたのは、私が落としたお財布を届けるため…？

あの日のことについて悩んでいたのは私だけであって、この人はそんなこと関係なく私へ届けてくれた…。

つまり…、

『(全部私の…勘違い…？)』

全てを理解した私は人生の中で1番の恥ずかしさと罪悪感を覚えた。