【声優】やたらと隣人が詰めてくる。【遊佐浩二】 (ページ2)

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#1.仕事帰りにてページ2

ｶﾞﾀﾝｺﾞﾄﾝ…

電車の重い揺れに瞼が開く。

『…ん』

ぱちぱちとゆっくり瞼を開くと視界にはいつもと変わらない車内と最寄り駅へと向かって走る電車の風きり音が耳に届く。

どうやら乗り換えした後から疲れと眠気に負けて寝てしまっていたらしい

『(…あとちょっとか)』

また閉じそうになる瞼に力を入れ、ぼやける視界を擦り電車のモニターを見る。もうすぐで最寄り駅に到着するようだ。

携帯をタップして時間を確認する。

『(…よし、この時間なら)』

時刻は20時手前、ピリッと緊張感が走る体に少しの安堵が入り交じる。

少し気持ちに余裕が出た所で帰りにスーパー寄ってかなきゃ。と降りた後の予定を考える。

携帯から視線を外してふと窓の外の風景に目を向ける。

《まもなく～○○。○○駅に到着します。お降りの際は～…》

…やっと着いた。

駅の改札を通って外に出る。

丁度仕事帰りの時間の為かスーツを着ていそいそと帰る人や部活帰りなのか制服を着た高校生達が楽しく談笑している所を横目にヒールを鳴らしながら同様に私も急いで帰る。

いや、帰ろうとした。

『(ぅげっ…)』

思わず私は足を止めた。

私が帰る時に必ず通るこの道は、大通りと比べて人通りが少なく街灯はちらほらあってそれなりに明るいが、それでもなんとなく通りにくく感じるこの道に遠くから見ても分かる人影が見えた。

はぁぁぁ〜〜〜〜〜〜、、、、、、

…ヤなもん見えた…。

口から漏れそうになる大きいため息をぐっと堪えて、渋々足を進める。

ついさっきまで軽かった足取りはどこへ行ったのだろうか、今とてつもなく足が重い…

重しと磁石が足の裏に同時にくっついているような感覚だ。

どうしてこうも人間の予感というものは当たるのだろうか。

しかも大体嫌な予感の時に

視線の先の人物は、道のガードレールに腰掛けながら足を組み、片手にスマホを持って何か調べる訳でもなくロック画面を何回も確認しているようだった。

私は心の中でため息をついた後、肩に持っていた荷物背負い直してその人物に近づいた。

相手は近づいてきた人物が私だと分かると、分かりやすく目元と頬を緩めて弾んだ声を私に向けた。

「おかえり、Aちゃん。」

『……遊佐さん…』

ニコニコ微笑むのと対照的に私は顔を引きつらせた後、我慢していたため息を深くついた。

残念ながら帰りにほろ酔いも買ってかないといけなそうだ。