とにかく早く帰りたい【B.O.Y.S.P.L.A.N.E.T 】 (ページ2)

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Aside

飛行機の硬い座席のせいでバキバキになった体を無理に動かしてにキャリーバックを引きずる。

なんでこんな事になったのやら分からないまま、会場まで来てしまったが、出来るなら早く脱落して帰りたい。

元はと言えば母親が勝手に応募したのをきっかけにして始まったこの地獄。

どうしても息子をアイドルとして育て上げたい母は最初兄を事務所に入れたのだが、案の定我の強い兄は反抗し無理矢理ソウルの高校、大学に通い、今では大企業に就職して母を黙らせた。

その母の想いが御鉢に回って今度は俺が事務所に入れられた。兄のようにダンスの才能もなく、とはいえ母にも強く出れなかった俺はダラダラと練習生を続けている。

やり続ける内に確かにダンスを踊るのは好きになった。長い練習期間あってか、日本にいる時は周りにいる子達より出来ていた自身もある。かと言ってそれがアイドルとして活動したいに繋がると言われれば、それは否だ。いつかは収まると思っていた母の想いを見誤っていた。
こんなオーディションに勝手に参加されられるまでに膨れ上がっていたとは！

(脱落するまで帰れない？冗談じゃない、こっちは大学受験の最中だったのに！！)

いつの間にかシワがよった眉を親指でグルグルと解く。胸に貼ってあるゼッケン何やら自信を表す星のシールをとりあえず2つ貼った。真ん中にあるギラギラした椅子に座る勇気などないのでGの端の席に座る。周りを見たわせばまばらに人が座っていて、生睦まじげに話しているグループがチラホラあり、少し不安な気持ちになりながら始まるのを待つ。