保健室の常連さん。【太宰治】

再び ページ8

太宰「あれぇ、Aちゃんじゃないかぁ！」



瞬間、女バスの部員とののちゃんの目が光る。



のの『えっ、なになにAちゃん、この先生と知り合いなの！？』


「あ、いや、昨日たまたまお話しただけで…」


のの『いいないいなぁ、私も先生とお話してみたい〜♡』


女バスの部員様方の目が怖い…
やっぱりモテるんだな、先生…
ののちゃんもなんか目がキラキラしてるし。



その後、ののちゃんは先生と話すついでに、女バスの先輩方とも仲良くなってしまった。
素晴らしすぎるコミュ力。憧れを通り越して怖い…

なんだかちょっと寂しい。
まぁ、もともと人気ある先生なんだし、
仕方ないんだけど。


私はなんだかちょっと辛くなって、
その場から離れた。
校庭では、野球部とかサッカー部とか、
いろんな部が活動してて、

ぼんやり眺めていたら、
こつん、と頭に何かが当たった。


後頭部がひんやりすると思ったら、
冷えたジュースの缶だった。


その缶を持っていたのは、

太宰先生だった。


…何故？



太宰「さっき急に居なくなるからびっくりしたのだよ。はい、これ。飲める？コーラ。」


「え、なんで…」


太宰「さっき彼女らとジャンケンで負けた方がおごる、みたいなゲームをしててね？それでついでに、君の分もって。」


ありえないでしょ普通。いくらさっきいたからって、私はそのゲームに参加していないのに。
なんだか、ほんとに好きだなぁ…
もうこの先生、すごく好き…



太宰「気にしなくていいの。はい。私さ、君とも仲良くなりたいと思ってるんだよ。ダメかい？」


コーラの缶を受け取ってから、
一息ついて、


「私も、先生のこと、もっと知りたいです。」






あれ。なんか、初めて人の目をまっすぐ見て
話せた気がする。






でも、本当に、先生のことをもっと知りたいって、
思ったんだ。

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