保健室の常連さん。【太宰治】

伝えたかったこと ページ34

部活も引退して、そろそろ本気でみんなが勉強し始めるなって時期に、

今日はうちの母が、これからどうするのか、私の意思を聞きに久しぶりに家に泊まるらしい。



家に泊まるって変な言葉。自分ちなのに。









母「おかえり。向こう、座って待ってなさい」



「うん」



久しぶりだなぁ。こんなにお母さんとゆっくり過ごすの。






母「A、高校になってからも、こうやって放ったらかしでごめんね。」




「…！」




昔は、私だって忙しいの。


あなただって早く自立しなさいよ。


私はあなたを養うために働いてんだから！






そう言われていたのに、どうしちゃったんだ。


母は、紅茶の入ったコーヒーカップを
2つ、机の上に置いて、隣に座った。









母「ほんとは、もっと帰ってくるつもりだったの。でも、あなたを傷つけてしまった罪悪感と、また傷つけるんじゃないかっていう不安がループして、ほんとに時々しか帰れなくて…っ」







ごめんね。私が弱いばかりに、

あなたの事傷つけてしまって。




ごめんね。




何度も謝る母は泣きながら私を抱きしめた。



私は、母の頭を撫でながら、



聞いてほしいことがあるの。


そう伝えた。






「私ね。好きな人がいて。卒業したら、その人と結婚することにしたの。主婦業に専念したいから、私は職には就かないことになるんだけど…」




母「！！…そうだったの…」





あなたが決めた人なら間違いはないでしょうけど、

卒業したら、1度でいい。私に会わせて。



そう言われた。


母は、仕事にひと段落ついて、預金にも余裕が出来たらしい。これからは毎晩帰ってこれるそうだ。






今までずっと抱えてた気持ちとか、

母への愛とか、その日はたくさん語った。




その夜、
母は、私が昔好きだったミートパスタを作ってくれた。


それは、あの日先生と食べた時と同じ、

暖かくて、愛に溢れる味がした。









時は流れて、ついに明日は、卒業。

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