8ページ 義務教育について ページ8
翌日の十時になったよ！
赤いパーカーに黒のスキニーでうらさんからもらった指輪を右の中指につける。
完璧私服なんよ！
ボスも私服だった。
「癒衣の可愛い服、買っちゃうぞ〜！」
と一人で盛り上がってる(笑)
けど、こういう経験ないから正直僕も盛り上がってるかも。
ボスが運転してくれる車に癒衣をベビーカーに乗せて、数枚のおむつとウエットティッシュをかばんに詰めた。
うらさんが助手席で僕と癒衣が後部座席。
癒衣を抱えて窓を開け、適度に換気する。
外は8月中旬には珍しい爽やかな風と包むような日差しが降り注いでいる。
今日の癒衣はなんかご機嫌斜めみたい。
顔がむすっとしてる。でもかわいい。
「あ、そうそう、坂田とうらた、運転しながらで悪いんだけど、話がある」
「なんでしょう」
「癒衣のことよ。うらたと坂田。癒衣を義務教育、つまり、小学校に通わせたいかどうか、だ」
「どういうことでしょうか」
うらさんがよく分からないという表情をしている。僕もわからない。
「少し難しい話になるが……君たち捨て子には、出生届を出していない。つまり、児童手当がされないんだ」
児童手当というのは、国から子供に支給されるお金や医療費全般無料になるという制度だ。
「別に私達は児童手当がなくても沢山のお金はあるし、優秀な専属医者だっている。生活するにあたってのことなら心配はいらない」
「けど、それはマフィアとして育てていくなら、の話だ。私は癒衣には危険な目にあってほしくない、命の危険に晒されたくない。なんなら、あの子を養子にして安全な道を選んでほしいのだが……」
「まっ、私に決める権限はない。坂田、あなたが決めるのよ。まぁ国に諸々申請しないと義務教育は受けられないけどそこは金の力で解決するわ」
癒衣の為に安全な道を進んでほしい。
そのためなら、癒衣を、癒衣を手放したほうが、いいのかもしれない。
けど…
ちら、と癒衣を見ると、僕の服を掴み、さっきの不機嫌な態度とはうってかわってにこにこしている。
一瞬頬が緩む。
〈僕が育ててあげる！！〉
〈んふふ、一生守ってあげるからね♡〉
フラッシュバックする昨日のこと。
守ってあげるって、そばにいるって誓った昨日のこと。
「僕は癒衣と一緒にいたい！育ててあげるって、守ってあげるって言ったから！でも癒衣にはちゃんと学校に行ってほしい……。どうすればいいですか、首領」
「そう」
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うさ@Bsc(プロフ) - 初めまして！面白かったです！更新頑張ってください！ (2021年6月20日 23時) (
レス) id: b72b4d2a41 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - 突然すいません！めっちゃ好きです！頑張ってください！！ (2021年3月17日 15時) (レス) id: 5aab78de35 (このIDを非表示/違反報告)
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