３８ ﾃﾋｮﾝside ページ38
で、あれからデザートを食べ終わったAの返事を待ってるんだけど何も言わない。
デザートが入っていた容器をじっと見つめてこっちを見てくれないし。
「...ねぇ、言えないなら無理に言わなくていいけど...言えないって、一言くらい言ってよ」
「...ごめん」
「いや、いーけど」
言えないことなら、気になるけど俺はそれ以上聞けないし。
だけど、ちょっとだけ...俺って頼りないのかなって。
自分は普通にしてるつもりでもふざけてやってるように思われたりしちゃうし。
Aは数少ない女友達だと思ってるから、頼ってもらえないのがなんか寂しい。
無意識に「はぁ」とため息をはいたら
「あのね」とさっきまで黙ってたAが口を開いたから、「ん？」とAの方に体を向ける。
「...考え事、してる。けど...テヒョンにはまだ言えない悩みなの。」
俺に『まだ言えない悩み』って...どういう事？
よくわからなくてじっとAを見ると、少しこちらを向くAと視線が混じる。
お互い、目をそらさなかった。
なんだか時間が止まったような感覚におちいって、気づけばAのほっぺに手を伸ばしていた。
コンコン
「ヒョン、今いい？」
ドア越しに聞こえるジョングクの声。
咄嗟にAに伸ばしていた手を引っ込める。
...俺、今何してた？
「...ヒョン？開けるよ？」
そう聞こえたと思ったらドアが開いてジョングクが遠慮がちに顔を覗かせる。
「...あ。ごめん、ジニヒョンが晩御飯なにが良いか聞いてきてって。カトクしたけど、返ってこなかったから...」
と、俺とAの距離を見て遠慮がちに言う。
「あー...「あ、じゃ、私そろそろ帰るね」」
そう言ってそそくさと帰ろうとするA。
「ちょ、A！」と、呼び止めるけど「...またね！」と言ってパタパタと走って帰っていった。
はぁ。とため息をつきながらジョングクを見ると
「...ヒョン、邪魔してすみません」
と本当に申し訳なさそうに言うもんだから、もう許す選択肢しかないわ。
「んーもういいよ」
そう言うとジョングクが「今度埋め合わせします」と言った。
...何してくれるのかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おぐり | 作成日時：2017年10月24日 13時
