turning.43 未来で待つ ページ43
しかし、今ここで私の言葉を受けた
皆が思っている事は同じだろうという事はわかった。
だから小さく笑いながら、軽く挨拶をして五人の方を振り返る。
と、不意に何かを思い立ったかのような鬼道の声が私を呼び止めた。
「……A! ……一つだけ、教えてくれ」
「…………?」
「俺達にとっての未来……お前にとっての、今……Aは──」
──“幸せなのだろうか”。
恐らく、彼のあの言葉の後にはそう続いたのだと思う。
そうだと思って、私は俯きがちになって言葉を途絶えさせた
有人に向け、小さく頷きながら答えた。
「──私は、皆と共に居て良かったと思ってる。
皆と共に居ることを選んだのは、決して間違いではなかったと」
「…………!」
「……きっと、大丈夫だ」
だから、そのままの皆で居て欲しい。
そう願いを込めながら言えば、こちらの言葉を聞いた有人は
少しばかり考えた様子を見せた後、再び顔を上げて頷いた。
その表情には、わずかに安堵の笑みが浮かべられていて
今度こそ、それを認めた後に五人の元へと歩み寄る。
「……それじゃあね、ひいじいちゃん。
一緒にプレイ出来て……俺、嬉しかったよ!」
「……ああ、俺もだ!」
「──さよなら、ひいじいちゃん」
「じゃあな、カノンっ」
二人の間で固く交わし合った握手も、やがて離され
六人の下に青い光が現れた時、カノンも光の中へ飛び込む。
傍らでカノンが手を振っている気配を察しつつ、
私達は最後まで雷門イレブンの姿を脳裏に焼き付けていた。
……そして、助っ人たちもまた、この時代から姿を消す。
〜･〜･〜
──まるで、嵐が過ぎ去ったかのような静けさ。
混乱が過ぎ去り、喜びがやって来て、
それを持ってきてくれた仲間達もまた去って行った。
だが……ふと、頭上からヒラヒラと舞い落ちてきた
色とりどりの紙ふぶきを視界に入れて、顔を上げる。
「「「…………!」」」
瞬間、雷門イレブンの全員の表情に再び笑みが生まれた。
それは……優勝を手にした、選手達の喜び。
仲間達がキャプテンである円堂に呼びかけて、
円堂がそれに応えるようにして満面の笑みを浮かべ──
力強く握った拳を、青空に向かって突き上げる。
「俺達は、日本一だぁぁっ!!」
「「「おおぉぉっ!!」」」
──俺は、澄み渡った空色に“彼女”の姿を思い
きっと先で待っている希望に満ち溢れた未来へと
思いを馳せ……小さく、笑みを浮かべた。
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フェイル(プロフ) - ロンさん» はい、王牙本編は以上で終了です。後は番外編で無印補完という事になりますね! お知らせは、出来れば明日に書ければいいなとは思っています…… (2015年5月18日 20時) (
レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ロン - とうとう、終わった・・・のか？ (2015年5月18日 20時) (レス) id: 59aa0972bb (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ロンさん» あ、ごめんなさい! 実は劇場版の本編は45話までで終わりという事になっています。後に二話程のおまけをつけますが、それはオリジナルです。また、番外編の方でも王牙関連のお話を数話載せるつもりですから、全45話+αです。 (2015年5月14日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ロン - あと8話！ファイトですよ！とうとう、試合終わってしまいましたね・・。あとは、何かあったっけ？オリジナルですか！？ちがったらごめんなさい！ (2015年5月13日 18時) (レス) id: 59aa0972bb (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ロンさん» いいえ、とんでもありません……! その証拠に、この小説の容量が50話分だと考えて残り数話しかない状況を見れば、まず王牙と雷門イレブン達とのやりとりが少なくなっているだろうなと予測がつくと思います……。そう言っていただけてとても嬉しいです^^ (2015年5月10日 9時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2015年4月6日 0時
