turning.22 仲間の対象 ページ22
「あの人の悪事を知れば、帝国の皆はそれまでのサッカーを
信じられなくなるだろうと、わかっていた」
現に、信じられないからこそこうして行動を起こして
何とかしようとしているのが、私達なのだ。
「帝国イレブンが、自分で満足の出来るサッカーが
出来るようになるのなら、それで良かったんだ……」
彼らがどちらに転ぶのだとしても、
誰かを恨むのだとしても──その標的が、私だったのだとしても。
全ては、ただ一つの事のためにやってきた事だった。
しかし今、雷門のために動こうとしている有人を目の前にして
それに違和感を覚えている自分に、戸惑っていた。
そんな私を見てか、どこか悲しげに眉を寄せた彼は
こちらの肩にそっと片手を置いて、声を放つ。
「……A、お前がそこまで俺達を思っていた事は
嬉しい。そこにAらしさを感じもする。だが……」
やがて、強く訴えかけるようにして両肩に手を置いた有人が
ゆっくりと、それでもしっかりと言葉を繋げて。
「そのために他の何かを見捨てるのが、お前だったか?」
「…………!」
「どこまでも、正義感のために仲間を……大切なものを守り
それに寄り添う──それがお前じゃないのか。伊吹A」
──それは、恐らく彼の知る“私”の姿だったのだろう。
けれど、戸惑いを隠せない私は瞳を揺らしながら返す。
「……仲間、なんて……思ったこと、ない」
「……アイツ等は、既にお前を仲間だと思っているだろうな。
今更それをAが否定しようが、認めないだろう」
確かに、彼の言う通りではあった。
それが雷門イレブンであり、キャプテンの円堂守の姿。
私自身も良く知っていたことではあったが、
やはり上手く呑み込むことが出来ず。
「それでも納得できないなら、今はまだ、帝国のためだと……
そう思っていてくれ。帝国のサッカーのために、雷門を救うんだ」
「……その通りだ。わかったよ……。ごめん」
何故だか酷く自らが滑稽になっているのを理解して
どうしようもなく、謝った。
有人はその様子も見て取ったらしく
ふと、思い出したようにして話を続ける。
「──A、お前が一年ほど前に失った記憶を
取り戻せるかもしれないんだ。それが保存されている場所も探した」
だから今から行ってみないかと、そう持ち掛けた有人。
きっと、私を思っての事だろうとわかって
つい苦笑いをしてしまったが、首を横に振った。
「ありがとう。でも、必要ない」
「……良いのか?」
turning.23 鉄骨→←turning.21 帝国のため
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フェイル(プロフ) - ロンさん» はい、王牙本編は以上で終了です。後は番外編で無印補完という事になりますね! お知らせは、出来れば明日に書ければいいなとは思っています…… (2015年5月18日 20時) (
レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ロン - とうとう、終わった・・・のか？ (2015年5月18日 20時) (レス) id: 59aa0972bb (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ロンさん» あ、ごめんなさい! 実は劇場版の本編は45話までで終わりという事になっています。後に二話程のおまけをつけますが、それはオリジナルです。また、番外編の方でも王牙関連のお話を数話載せるつもりですから、全45話+αです。 (2015年5月14日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ロン - あと8話！ファイトですよ！とうとう、試合終わってしまいましたね・・。あとは、何かあったっけ？オリジナルですか！？ちがったらごめんなさい！ (2015年5月13日 18時) (レス) id: 59aa0972bb (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ロンさん» いいえ、とんでもありません……! その証拠に、この小説の容量が50話分だと考えて残り数話しかない状況を見れば、まず王牙と雷門イレブン達とのやりとりが少なくなっているだろうなと予測がつくと思います……。そう言っていただけてとても嬉しいです^^ (2015年5月10日 9時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2015年4月6日 0時
