turning.21 帝国のため ページ21
〜･〜･〜
あの後、私は帝国イレブンの歴史の変わりざまを目にした。
有人の言葉で、他の者達がどう動くかはわからないが……。
──翌日の試合当日では、守達より先に帝国学園に訪れていた。
総帥の待つ部屋の扉を通った一歩のところで、私は止まる。
同じくしていた有人は、それよりも数歩先に立ち。
「なんの用だ。鬼道、伊吹」
「……ついに決勝戦です。
強くなった雷門中と──堂々と戦わせてください!」
有人は既に、影山が起こして来た悪事を把握していた。
雷門イレブンの元で起こった、バスの事件についても。
それを警戒して、この人の元を訪れたのだ。
「──帝国は既に勝っている」
「っどういう事ですか……!?」
「優れた司令官は、戦うまでに既に勝利を決めて居るものだ」
しかし、返って来たのは決して良い返事ではなかった。
わかってはいたが……、こちらと取り合う気はないらしい。
「……ッ、失礼します……」
有人もそれを察して、一言だけ放つと
私と共に部屋を出て行く足を動かした。
〜･〜･〜
もう試合は間近だった。
フィールドまでの道を足早に歩きながら、私は彼に問いかける。
「……有人。どうして雷門イレブンに、そこまでして……」
「総帥の悪事を知れたのは、アイツ等のおかげだ。
それに……ただ、奴等に限らずとも堂々と戦うことを望んでいる」
少なくとも自分はそうだと、有人が話す。
そして、続けるようにして彼も私を見やりながら問いを返した。
「逆に、お前はやけに消極的だな。……何かあったのか?」
「……何も無いよ。本当に、何も無かった。
……無さ過ぎて……だからこそ、どうでも良いんだ」
「…………?」
この返しには引っ掛かりを覚えたらしい有人の足が止まる。
それにつられるようにして私の足も止まったが、
いつの間にか俯かせてしまった顔を上げることは出来なかった。
「どういう事だ、A? お前にとって、雷門は──」
「──雷門に居る間も、私の中には帝国しかなかった」
それは、雷門イレブンの一員としてあるまじき発言であり。
そうだと理解しながらも、それが真実であり、否定もしないまま。
「雷門に転校したのは、帝国のため。雷門で戦い続けたのも……
あの人の悪事を知って、それをどうにかしようと思ったのも、全部」
雷門に居ても、私の心は帝国にあるようだった。
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フェイル(プロフ) - ロンさん» はい、王牙本編は以上で終了です。後は番外編で無印補完という事になりますね! お知らせは、出来れば明日に書ければいいなとは思っています…… (2015年5月18日 20時) (
レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ロン - とうとう、終わった・・・のか？ (2015年5月18日 20時) (レス) id: 59aa0972bb (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ロンさん» あ、ごめんなさい! 実は劇場版の本編は45話までで終わりという事になっています。後に二話程のおまけをつけますが、それはオリジナルです。また、番外編の方でも王牙関連のお話を数話載せるつもりですから、全45話+αです。 (2015年5月14日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ロン - あと8話！ファイトですよ！とうとう、試合終わってしまいましたね・・。あとは、何かあったっけ？オリジナルですか！？ちがったらごめんなさい！ (2015年5月13日 18時) (レス) id: 59aa0972bb (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ロンさん» いいえ、とんでもありません……! その証拠に、この小説の容量が50話分だと考えて残り数話しかない状況を見れば、まず王牙と雷門イレブン達とのやりとりが少なくなっているだろうなと予測がつくと思います……。そう言っていただけてとても嬉しいです^^ (2015年5月10日 9時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2015年4月6日 0時
