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ねえ、聞いてほしい話があるの。
あんまり頭の出来はよくないから、期待しないで欲しいんだけど。
あなたが吸血鬼だって、あの日血を飲んだあなたの目が赤く揺らいだ時から、疑いもなく信じてる。
そもそもただの人間の八重歯なんかで、あんなに肌が開くことないよね。
『そこは』、全く疑ってないよ。
ねえ、クオーターなんだってね。
お祖父さんが吸血鬼なんだっけ?
確かにクオーターって言うのなら、あなたがあんなに太陽を浴びてサッカーができるのも、特に不思議な話じゃない。
弱点は淘汰されるものだとあなたは笑ったけど、それって結構すごい話だよね。
普通の人間と違うのは鋭い八重歯くらいだと言ってたけれど、それも大して普通の人と変わらないし。
ねえ、これが本当に聞きたい話。
淘汰されたのって、弱点だけ?
ごめん、ちょっと分かりにくいかな。言い直すね。
本当に、血を飲む必要があるの?
あの日、言わなかったけど。
あなたがわたしの血を恐る恐る舐めたのを知ってる。
あれが初めての吸血だったんじゃない?
怖いよね、『食べ物』なんかじゃないんだから。
それに本当は気づいてたけど、わたしも怖くて言えなかったの。
これが自惚れに似た勘違いだって、思いたくなかったの。
怖いから、まだこれは黙っておくね。
「ごちそうさま」
だからあなたも、せめて今晩だけでもいいから。
「…お粗末様」
きっと上手に、騙くらかしていて。
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作者名:越生 | 作成日時:2017年12月21日 23時