【wrwrd!】あの子愛しの吸血鬼【短編集】 (ページ1)

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【ht】一生一緒を履き違えた日ページ1

Aと連絡がつかない。

電子音を響かせる携帯を少し苛立ちながらポケットに仕舞う。

彼女と連絡が取れなくなって、3日が経つ。

初めは自分がなにかしてしまったのかと思っていたが、
共通の友人たちも皆一様に連絡がないのだと首を振っていた。

大学にも来ている様子がないので、いよいよ心配になって一人暮らしの彼女の住むアパートの合鍵を手に取る。

なんとなく、胸騒ぎがしていた。

部屋の前まで着いてインターホンを一応鳴らしたが、反応がない。

何かあったのかと不安が膨れ上がって形だけの挨拶と共にドアを開いた。

昼間だというのに真っ暗な部屋が、悪い予感を増幅させる。

玄関脇のスイッチを何度か切り替えるも、切れてしまったのか電気はつかなかった。

名前を呼んでも物音ひとつしない。本当に大丈夫か？これ。

留守の可能性も考えて、躊躇いながら靴を脱ぐ。

そうして足を踏み入れたキッチンで、暗闇の中、足の裏に小さな痛みが走った。

「…？…これ、」

しゃがみこんで確認すると、足を傷つけたのは彼女が気に入って使っていた食器らしかった。

割れて破片が散らばったそれは、どう見ても1枚や2枚では_____

「っ！A！！」

いよいよ警鐘が頭の中で鳴り響いて、リビングのドアを乱暴に開け放った。

いつもの彼女の明るい声も、俺の突飛な行動に驚く彼女の声も、聞こえなかった。

「…ひとらん、」