なな ページ7
「私は…
無惨を取り逃した。
きっとこれからも私のせいで多くの者が命を落とす…
兄上を止めることが、できなかった…。
だが、ある幼子の笑みを見て、
守る…べきものを、思い出した。
あの日…思い出せないと泣き崩れる君を…
人を食えなくなったと嘆く君を見て、
同じだと…思ったのだ。」
『わた、しを…』
体がすっと冷えていきました。
息も絶え絶えな縁壱は、
…きっともうすぐで死ぬのでしょう。
「私は大層なものではない…だが、
もしも…君が私を憶えていてくれるのならば
私が君の名をつけても良いだろうか…」
『嗚呼、君がつけた名ならばきっと…』
きっとこの先も憶えていていられるだろう…。
「……A、」
『なんだ…？』
A、それが私の名か…。
「託しても…よいだろうか…
君の生きる意味を、私なんかが、…
だが、君にしか…頼めない。
…私などを超える才を持つ者が、今にきっと…現れる…。
私の、やり残してしまったことを…Aに、託してもよいだろうか…。」
それは、無惨様と黒死牟を…
『…ふ、無茶振りを言う、なぁ…。
きっと、きっと果たす。
君が言うのならば、Aとして、
君に託された者として…！』
縁壱は最後の力と言わんばかりに袋を握りしめていました。
「…兄上、…」
縁壱は静かに目を閉じました。
『なぁ、縁壱…。』
縁壱はもう答えませんでした。
『A…って、名前負けしてるぞ…』
縁壱は自身を過小評価しすぎだ…
『なぁ、！縁壱…、ｯ。』
君の才覚を超える者など、もう現れはしないだろう…
着物の裾から作ったであろう巾着には手作りの笛が入っていて、兄からの贈り物であろうことは簡単に分かりました。
あの時、彼の手をとっていれば
縋って
握って
笑って
紡いで
愛せば…
なんて。
『もう…遅いか。』
『さよなら…継国縁壱。』
貴方との約束を果たす日まで
永遠に涙を紡ぎ続けて
また貴方に会える日まで
何千年先も待ち続ける
それまでずっと生き続けましょう
貴方にもらった生きる意味…
貴方にもらった名を持って
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉咲(プロフ) - 凄く面白かったです！！ですが、更新が三カ月以上されていないのが残念…。これからも体調に気を付けて頑張ってください！！ (2020年12月25日 18時) (
レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
漂白剤 - 早速読みました！！！ (2020年9月26日 21時) (レス) id: 836661e0c9 (このIDを非表示/違反報告)
漂白剤 - 早く続きが見たいです！！！！更新頑張ってください！！！とても感動するというかなんというか、とにかく良い素晴らしいお話です！！！ (2020年9月22日 10時) (レス) id: 836661e0c9 (このIDを非表示/違反報告)
ogofumi(プロフ) - 魅音さん» お待たせしました。 (2020年6月30日 1時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
魅音 - とても素晴らしい話なのに更新していないのが悲しいです。待っています。 (2020年6月29日 21時) (レス) id: 8546f06bf3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カナデ x他1人 | 作成日時：2020年4月27日 14時
