【第五人格】when【短編集】 (ページ43)

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鬼ごっこ【玩具職人】ページ43

私は、お人形。

可愛い洋服を着せられて、お部屋の中で、両親が望んだ事だけをする。

まるで操り人形みたい。

小さい頃からずっと、外で遊ぶ同じ位の子達が羨ましかった。

皆んな泥だらけだけど、自由に走り回ったり、飛び跳ねたり…

その様子を見ながら、私がしていたのはお人形遊び。

私もお人形に可愛いお洋服を着せて、唯一のお友達として遊んでいた。

窓辺でみんなが遊ぶ姿を見ながら、私も走り回る姿を想像していた。

ある日、今日も窓辺で遊んでいると、窓がノックされたのだ。

窓をノックしたのは知らない女の子。

泥だらけでボロボロで、汚い服を着ていた。

『貴方も一緒に鬼ごっこしよう！』

女の子は、窓の外からでも伝わる大きな声で私を誘った。

お父様にバレてしまうのが怖かったけれど、幸い今日は夜まで用事があった筈だ。

私は窓を開けると、外に飛び出した。

『私はA！貴方は？』

「えっと…私はアニーです。」

初めて参加した鬼ごっこ。

走って、転んで、叫んで…

泥だらけになったけれど、とても楽しかった。

でも、そこで気がついた事がある。

「Aは、仲間外れなんですか？」

Aは、人を捕まえても反応されなかったし、誰からも捕まえられなかった。

今思えば残酷な質問だったかもしれない。

『んー、ある意味そうかも。

　でも、アニーはお話ししてくれるでしょ？』

それから、私達は友達になった。

たまにお父様がいない時を見計らっては、他の子達とも沢山遊んだ。

それでも、隠し事とはいつかはバレるもの。

ついにお父様に見つかってしまった。

私は何時間も怒られて、それから家の二階に部屋を移された。

窓には鍵がかけられて、許可がない時は部屋すら出して貰えない。

退屈していたある日、窓をノックする音が聞こえた。

初めは気のせいだと思った。

だって、ここは二階。

外には登れる様な場所も無いのに。

『アニー？どうして遊びに来ないの？

　一緒に鬼ごっこしよう！』

Aの声。

よく響く、大きな声。

窓の外を見る事は出来なかったけれど、私は全てを察した。

どうしてAが皆んなに無視されていたのかを。

彼女が言った、〝ある意味そうかも〟という答えの意味を。

だから、私は決めた。

大人になったら、翼を作ろう。

きっと空にいるAと、また鬼ごっこをするために。