【第五人格】when【短編集】 (ページ19)

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その価値僅か【モグラ】※リクエストページ19

物を一円でも高く売るコツ。

相手のニーズに合わせ、言葉の裏をとり、少しでも商品をよく見せる。

「この商品はですネェ、少し難ありですヨ」

まぁ、あくまで売りたい商品に限るのだけど。

このオークションで商品として流れて来たA。

珍しい髪と瞳の色。

美しい体に常に明るい性格。

もしも売ったら一億五千万は下らないだろう。

それでも、彼女と接している内に「商品」として見る事が出来なくなっていった。

『モグラさん。どうして私を売らないんですか？』

毎日そんな事を聞かれるけれど、答えられる訳ないですよネ。

彼女は私の物。

ずっとそう思っていたのに。

「さぁスタートは十億円から」

買い手がつかない様に、あえて高く付けている値段。

それが裏目に出てしまったんだ。

「ふむ。買わせてもらおう」

今日、そんな声が出てしまった。

オークションという観客がいる状態でのこの状況。

売るしか無かった。

いよいよ引き取られるという瞬間、Aは私に向かって呟いた。

『知ってます。私は商品なんです

　お世話になりました。』

違う！そんな訳では。

何度そう叫びたかった事か。

彼女と過ごした僅か一年というその時間は、到底十億では買えない物なのに。

だから、私は店をたたみました。

彼女がいない日々では、黄金すらも石ころに見えたから。

今までの人脈、金、信頼を全て使い、Aを買ったやつの元へ辿り着いた。

彼女の鎖をといて、必死に走って、逃げて、逃げて、逃げて…

『モ、モグラさん？どうして此処に…』

「貴方は商品なんかじゃありません！貴方は、貴方は___

今私の手元にあるのは十億円の思い出。

これからもっともっと高くなる思い出。

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Anchor様、リクエストありがとうございました！

ifの方に書いたモグラの物語と少し繋がっていたりします。

口調性格等解釈違いあったらお気軽に〜