第百六幕 ページ12
Aside
日が暮れて来た。
太陽が段々と西に傾き、私はそろそろ準備をしようかと立ち上がる。
結局、夕方まである程度時間があったので、店の整理をしていた。
整理、というよりかは店を畳む準備と言えば良いだろうか。
私はしばらく店を開けられそうにないし、人を雇う余裕だってない。
元々家を改装して店にしてしまったせいか、居住スペースも狭くて困っていた所だ。
親子三代で継いできた店とはいえ、私自身も興味もないまま続けるのも失礼になるだろう。
ただ、完全に店を畳むのも心苦しかった。
ここでは、お婆ちゃんと過ごした思い出だってある。
『まぁ、ひとまずこれで良いよね』
私はロナードからのドレスを着ようとしていると、家のドアがノックされた。
D.Mが来たのだろうか。
私が扉を開けると、予想通りD.Mが中に入ってきた。
「やぁ、準備をする所悪いね。
…貰い物かい？そのドレス」
私が手に持ったドレスを見て、彼は聞いてきた。
それに頷くと、D.Mは少し困った様に言う。
「少しそれを着るのは控えたほうが良いだろう。
少し目立ちすぎるしね。ここに私が持ってきた物がある。
これを着たまえ」
少し楽しみにしていただけあって、軽く落胆した。
だが、そういうものだろうときっぱり諦める事にする。
D.Mは、外で待っているよ、と言い残して家を出て行った。。
私は彼から受け取ったドレスを着てみる。
これもいかにも高級そうな様子のドレスだ。
パーティーも、貴族のルールも、お世辞も私はあまり好きなタチではない。
そんな私がいきなり貴族になってパーティーに行くなんて、つい一ヶ月前では想像してもいなかった。
『本当に物語みたい』
身支度を整えて外に出ると、いつもの馬車が扉を開けて待っていた。
裾が膨らんでいるせいでいくらか動きづらかったが、押し込む様にしてなんとか乗り込む。
「いいかい。今まで君は体が弱かったから外に出られなかった、という設定にしてある。
君はあくまで私の父と母から産まれた本当の肉親だと言い続ければいい。
疑われる事の方が多いだろうが、堂々としていれば問題ないだろう。
演技に関しては君の専門だろう？」
移動途中、D.Mからそんな事を言われた。
立ち振る舞いはどうにかなるとして、果たして本当にそれで大丈夫だろうか。
台詞も曲も何もない演技なんて、今までした事などない。
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海猫珈琲(プロフ) - お茶飲み隊・茶柱さん» 嬉しいコメント本当にありがとうございます！中々更新が遅れていますが、しっかり完結できるように頑張ります！ (1月21日 16時) (
レス) id: 2d7b04296e (このIDを非表示/違反報告)
お茶飲み隊・茶柱(プロフ) - 第五人格の小説の中でもダントツで読みやすく、ストーリーの構成が綺麗だと思いました…！！こんなに好きだと思えた作品あまり無いので出会えて嬉しいです！！更新、のんびり待っています (12月13日 17時) (レス) id: 97cc3b8ecb (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - 海猫珈琲さん» 無理をしない程度に楽しんでくださいね!こちらこそありがとうございます! (6月7日 8時) (レス) id: 7a2b30f834 (このIDを非表示/違反報告)
海猫珈琲(プロフ) - 3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信さん» お久しぶりです！長らくお待たせしました。これからは更新頻度どんどん上げていきますね！コメントありがとうございます。 (6月7日 8時) (レス) id: b2ab9dc6ab (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - お久しぶりです!久々の更新､大変嬉しいです!いやぁ今後の展開がすごく楽しみです! (6月7日 6時) (レス) id: 6196f83925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海猫珈琲 | 作成日時：2023年1月28日 11時
