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時の速さ2【写真家】 ページ46

『ジョゼフさん。

 貴方は__貴方の事を、私は許せなかったんです。

 荘園に来て、しばらく話して。貴方が私の親友を殺した本人だと気がついた。

 それでも…』




自分がそれ以上言葉を出せなくなったように、彼女も一切話す事ができなくなってしまった。

2人との間に、沈黙の時間が流れる。

ほんの数秒の時間が、やけに引き伸ばされて感じた。




泣きそうになるAを見て、私は気がついてしまった。

私は彼女の事を___




「君は、私の事が嫌いかい」




ふと、口から言葉が溢れ出た。

すると、ハッとAは顔を上げる。

次の瞬間、彼女の目からは光る物がこぼれ落ちた。




『実はずっと早く気がついて居たんです。

 それでも…!貴方の事が…好きになってしまったから!!!

 今までずっと恨んで来たはずなのに…』




そう言うや否や、Aは席を飛び出して部屋を駆け出してしまった。

バタン、と閉まる扉の音が、部屋に何度も反響する。




それと同時に、自分の思考が一切遮断されるのを感じた。

視界が真っ暗になり、鎮まり返ったはずの部屋も一層静かになる。




何分。いや、何十分、何時間が経ったのだろう。




「A…!」




喉からは、掠れた声がようやく発せられた。

やがて目の前の戻った視界には、何故かAが映っている。

そのAは、目の前で普通に紅茶を啜っている。




『ジョゼフさん、一体何時間固まっているつもりなんですか。

 もう紅茶も冷めてるじゃないですか』

「どうして…君が」




Aは、ハァと呆れた様なため息を吐く。




『別に…あの時は少しとり乱していただけじゃないですか。

 で…ジョゼフさんの答えはどうなんですか』




謎の安心感に包まれ、思わず体が動いていた。

Aの存在を確かめるかの様に、彼女を抱きしめている。




「あぁ、私は…君とこれからも一緒にいて良いのかい」



自分の腕の中で、頷く感触を確かに感じた。
▼△▼△▼ ⁠
お久しぶりです。

五年間の【探偵】→←時の速さ【写真家】



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海猫珈琲(プロフ) - あおいさん» 感動して貰えるとは…!凄く嬉しいです!ありがとうございます…!!! (2023年4月12日 8時) (レス) id: b2ab9dc6ab (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます!!五周年の探偵のお話、もう本当に胸が締め付けられました!語彙力がなく上手くこの感動を伝えられなくて悔しいのですがもうほんとに、、好きです!!最高です!!わー!!!探偵!!!って感じです!素敵な作品ありがとうございます! (2023年4月12日 0時) (レス) @page47 id: c7c6235123 (このIDを非表示/違反報告)
海猫珈琲(プロフ) - 3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信さん» ありがとうございます!これからもぼちぼち楽しく更新していきます! (2023年3月20日 10時) (レス) id: b2ab9dc6ab (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - お久しぶりです!お忙しいと思いますが、海猫珈琲さんの楽しめる速度で更新してください!これからも応援しています! (2023年3月20日 9時) (レス) @page45 id: 11410db0e9 (このIDを非表示/違反報告)
えりな(プロフ) - またメンヘラやヤンデレ系のお話も期待してます! (2023年2月26日 3時) (レス) @page41 id: e522d45f72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海猫珈琲 | 作成日時:2022年12月8日 9時

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