白と黒と色彩【画家】 ページ5
この荘園に来たのは、正直失敗だった。
命を賭けた体験をしてこそ、僕の中にインスピレーションが湧くと考えていたのに。
此処で見えたのも同じ、凡人がただ平々凡々と生活をしているだけ。
どうやら此処では死んでも生き返れるらしく、どいつも命を賭けるなんて様子は無い。
この荘園も、家と同じだった。
白と黒で塗り潰されただけのキャンバスに過ぎない。
こんな事なら、外で過ごしていた方がマシだった。
決められた時間に起きて、食事をして、ゲームに参加して…
まるで囚人みたいじゃないか。
『エドガーさん、宜しければ絵を見せて頂けませんか』
そんなある日、Aという人が話しかけてきた。
何処か不思議な雰囲気を纏っていて、触ったら消えてしまう様に儚い。
普段は滅多に姿を見せない彼女。
いざ間近で見た瞬間、それまで白と黒だったキャンバスがかき乱されてグレーになった。
「…君の絵を描く。それが条件だ。」
無性に絵が描きたくなった。
目の前の白いキャンバスを、グレーで埋め尽くしたかった。
頷いて目の前の椅子に座るや否や、僕は一心不乱に描き続ける。
時間を忘れ、ただ筆を動かしたいままに動かした。
ひたすらグレーに塗り潰されるキャンバス。
食事も睡眠も取らず、何時間経っただろうか。
目の前のAは、動かずにじっと座っている。
時々どうでも良い様な世間話を口にしたが、それは彼女の独り言となって消えた。
「描けた…!描けたぞ！
どう？僕の絵は」
キャンバスをAの方に向けたが、返事は無かった。
「ねぇ、君が見たいっていたんだから、反応位したらどう？」
だが、キャンバスを通した向こう側にAはいなかった。
どうして…つい十秒前まで、目の前に座っていたじゃないか。
「あ、やっと出てきたなの！
エミリー！」
部屋の外に出ると、庭師の少女が話しかけてきた。
「ねぇ、君Aを知らない？
僕の絵を見ないうちに部屋から出て行ったんだけど」
すると、庭師は信じられない事を言い出した。
「三日間も部屋にこもって何言ってるなの？
…それに、Aはエドガーさんが来る一日前に事故で亡くなったなの…」
じゃあ
じゃあ、あれは一体…
それから、Aの姿見かける事は無くなった。
僕の部屋には、未だに見せられていない、グレーの絵。
そしてなんとも言えない喪失感だけが残された。
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海猫珈琲(プロフ) - あおいさん» 感動して貰えるとは…!凄く嬉しいです！ありがとうございます…!!! (2023年4月12日 8時) (
レス) id: b2ab9dc6ab (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます！！五周年の探偵のお話、もう本当に胸が締め付けられました！語彙力がなく上手くこの感動を伝えられなくて悔しいのですがもうほんとに、、好きです！！最高です!!わー！！！探偵！！！って感じです!素敵な作品ありがとうございます！ (2023年4月12日 0時) (レス) @page47 id: c7c6235123 (このIDを非表示/違反報告)
海猫珈琲(プロフ) - 3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信さん» ありがとうございます！これからもぼちぼち楽しく更新していきます！ (2023年3月20日 10時) (レス) id: b2ab9dc6ab (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - お久しぶりです!お忙しいと思いますが､海猫珈琲さんの楽しめる速度で更新してください!これからも応援しています! (2023年3月20日 9時) (レス) @page45 id: 11410db0e9 (このIDを非表示/違反報告)
えりな(プロフ) - またメンヘラやヤンデレ系のお話も期待してます！ (2023年2月26日 3時) (レス) @page41 id: e522d45f72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海猫珈琲 | 作成日時：2022年12月8日 9時
