暖かさ【心眼】 ページ21
私が初めてこの荘園に来た頃。
初めは、皆んな私の事を腫物を扱う様に接していた。
今でこそそんな事は一切なくなったけれど。
確かに、目の見えない少女がいきなり危険な荘園に来たのだ。
皆んな、私の地雷か何かでも踏みたくなかったのだろう。
だから、もっぱら部屋に篭って点字の本を読むしかやる事がなかった。
そんな時に、初めて話しかけてきたのがAさんだった。
『貴女は…ヘレナだっけ？
この前来たばかりのサバイバーだよね？』
彼女の第一印象は、「安心」だった。
声のトーンだろうか。口調だろうか。
それとも雰囲気？
なんだか、陽だまりの様な人だった。
私が頷くと、Aさんは隣に座った。
『私も。ヘレナが来る一ヶ月前に来たんだ〜
荘園の人が消えていく謎が知りたくてさ。
ヘレナは？どうして荘園に来たの』
彼女の言葉が、胸に沁みたのを覚えている。
この数週間、ずっと遠慮や気遣いをされていた。
ただ、Aは気遣いや遠慮なんて一切ない、そんな質問をしてきたのだ。
「学費を荘園主が払ってくれるからと。
それに、ここではたまに文学で交流できる方がいるらしくて」
そう言うと、彼女は興味無さげにふーんと言った。
『本は？誰を読むの』
そして、今度も興味無さげに聞いてきた。
「主に詩集です！あまり人は限定していませんね」
すると、Aは一冊の本を取り出した。
『はい、これ面白いよ』
とても嬉しかった。
ただ、その本を受け取る事自体は出来なかった。
中は普通の紙で、点字ではない。
「ごめんなさい。私、点字の本じゃないと読めなくて…」
すると、Aは言った。
『別に一人で読めなんて言ってないよ。
私が音読するよ、この詩集気に入ってるんだよね』
隣で感じていたAの気配が、ほんの少し近くなった。
Aは私の手を握ると、本を開く。
『ヘレナの手、あったかいね』
彼女の手は冷たかったのに、なぜかじんわりと暖かかった。
「私も…!Aさんの手は、暖かいです！」
不思議そうにクスッと笑った彼女に、今度は心臓が暖かくなった。
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海猫珈琲(プロフ) - あおいさん» 感動して貰えるとは…!凄く嬉しいです！ありがとうございます…!!! (2023年4月12日 8時) (
レス) id: b2ab9dc6ab (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます！！五周年の探偵のお話、もう本当に胸が締め付けられました！語彙力がなく上手くこの感動を伝えられなくて悔しいのですがもうほんとに、、好きです！！最高です!!わー！！！探偵！！！って感じです!素敵な作品ありがとうございます！ (2023年4月12日 0時) (レス) @page47 id: c7c6235123 (このIDを非表示/違反報告)
海猫珈琲(プロフ) - 3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信さん» ありがとうございます！これからもぼちぼち楽しく更新していきます！ (2023年3月20日 10時) (レス) id: b2ab9dc6ab (このIDを非表示/違反報告)
3人の隊長と座長の剣士@自由浮上自由返信(プロフ) - お久しぶりです!お忙しいと思いますが､海猫珈琲さんの楽しめる速度で更新してください!これからも応援しています! (2023年3月20日 9時) (レス) @page45 id: 11410db0e9 (このIDを非表示/違反報告)
えりな(プロフ) - またメンヘラやヤンデレ系のお話も期待してます！ (2023年2月26日 3時) (レス) @page41 id: e522d45f72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海猫珈琲 | 作成日時：2022年12月8日 9時
