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(白石)
「……少し」
そうつけ足してから、いいや、これは本音じゃないと訂正を入れる。
「…結構寂しかった。
昨日誰もいない部屋に帰って気づいた。
部屋を貸して救われてたのは私の方だったんだって」
────素直になれ、私。
「……この数週間、つらいこともあった。
正直私には責任が重すぎるって感じる仕事もあったし、昨日だって…Aがあんな状態になって、本当に私まで心臓が止まるかと思った。
そんなとき…誰かに話を聞いてもらいたいって思う。
その相手は────緋山先生がいい」
────Aに話したらまたきっと、彼女は自分のことを何よりも後回しにしてしまう。
もうそれで、負担をかけるのはいやだった。
「ごちゃごちゃまとまりのない私の話を、緋山先生に聞いてもらいたい。
…まぁ、嫌かもしれないけど」
どんどん震えてくる声を必死に押し殺して、マスクの下で唇を噛む。
「……嫌じゃないけど。
昨日は私も自分のこととAのこと、不安になって八つ当たりしただけ。
…でも…、ありがと。
調子のいい励ましでも、────嬉しい」
そう言って私を見上げた緋山先生は、私と同じように泣きそうな顔をしていて、涙がこぼれないようにするのに必死になった。
「…やめて」
「大丈夫だからね。
自分のことも…────Aの、ことも」
ねぇ、Aが無事に退院できたら。
また2人で彼女のごはん、食べたいって言おうね。
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(京)
結局、香坂は朝になっても目覚めないまま、彼女のいない朝を救命は迎えた。
緋山と彼女がいないと、救命はこんなにも静かなのかと驚いた。
彼女達の代わりと言ってはなんだが、俺が処置に入ることになっている。
見慣れない青のスクラブに身を包んだ俺は、しっかりせぇやと藍沢の背を叩いて出動に送り出した。
「目が覚めたら、すぐに連絡したるから。
安心して行ってこい、初療室で待っとる」
「……頼む」
『ドクターヘリ要請です。
新幕張駅前の総武デバートで、50代男性が腹痛を訴えて倒れたそうです』
ヘリが青空へ舞い上がっていく。
一度ICUに目を向けてから、数ヶ月ぶりの処置に腕を回した。
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リラン(プロフ) - 前にも読み終わったんですけど、また読みたくなって読んじゃいました笑ところどころ私の好きな小説と似たようなセリフでてきていて、感動っていうかすごく心に響くめんがありました!改めていい作品です! (2022年7月22日 8時) (レス) @page42 id: f068be0892 (このIDを非表示/違反報告)
クリスティ38(プロフ) - もはや、オリジナルすぎてコードブルー←ではないと思いますが。一個人の感想ですので……夢主以外にオリキャラだした時点で、オリジナル多すぎな時点でもう脱線というか、名前使った別物に感じました。私が、オリジナルやオリキャラ出すの認めてない人なので…… (2019年9月23日 18時) (レス) id: eb0de2c665 (このIDを非表示/違反報告)
Mitsuki - 最近更新されていないようですが、大丈夫ですか?更新されるのを楽しみにしています。 (2017年11月10日 15時) (レス) id: 45294f18cf (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ - なんなんですか!明日学校なのに泣きすぎて目が腫れてしまうじゃないですか!と怒りたくなるくらい面白かったです。これも、何度目かのコメントですが、何回もコメントしたくなるほど面白いです!更新頑張ってくださいね。 (2017年9月19日 1時) (レス) id: c2c72ce877 (このIDを非表示/違反報告)
Kazsaaaan(プロフ) - 初めまして!ずっと1話から読ませていただいておりまして、今回8話のお話が涙なしでは読めなかったので気持ちを我慢できず感想を書きに来ました!もう!大好きです!過去のお話含め、切なさありキュンあり、ハラハラドキドキな毎話。更新楽しみにしています! (2017年9月11日 23時) (レス) id: 5f115adcd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年9月5日 0時